いろんな人の協力と、「不幸中の幸い」が重なった
もし台風が来たのが真夏だったら。停電でエアコンが使えなくて、1日で電気が復旧したとしても、熱中症に倒れる人がいたかもしれません。今回、水道設備は無事でしたが、もし破損していたら、どうなっていたか。
実際、八丈島ではしばらく断水が続いて大変だったそうです。お風呂は1日くらい入らなくてもどうってことないですが、トイレは我慢できないですからね。
また、八丈島は土砂崩れが起きて、土砂が押し寄せてきた避難所もありました。幸い、人的被害はありませんでしたが、胸の高さまで土砂が押し寄せてきて、「もう無理かもしれない」と思った方もいたそうです。
青ヶ島の歴史を遡ると、土砂崩れで命を落とした島民も少なからずいます。今回の台風でも、実際の被害はなかったものの、土砂災害警戒情報が出ていました。
そう考えると、過去最大級の台風でこの程度の被害に抑えられたのは、奇跡だったと思います。いろんな人の協力と、「不幸中の幸い」が重なった結果です。だからこそ、八丈島の被害は他人事とは思えませんでした。
実感した地域や人の繋がりの大切さ
台風が去ったあとも、たくさんの地域や団体からご支援いただきました。台風直撃直後は目の前のことで精一杯で、誰かの助けを借りたくても、声をあげる余裕すらありませんでした。そんな状況の中、手を差し伸べてくれた人たちの存在は、本当にありがたかったです。
今回の台風を通じて感じたのは、地域や人の繋がりの大切さです。島に限らず、どこの地域で、いつ何が起きるかは分かりません。
そして、いざ何かが起こった時、被災した人たちだけでできることは限られています。そんなときに助けてくれるのは、地域や人同士の結びつきです。
実は、青ヶ島にも社会福祉協議会があるんです。バザーやチャリティ食堂で資金を集めて、他の地域で何かがあった時は寄付もしてきました。そして、今回は私たちが助けていただく立場になりました。
YouTuberとしてやってきたことに意味があったと思えた
また、SNSでもたくさんの方から「大丈夫?」「何かできることはありませんか?」と声をかけていただきました。YouTuberをしていると、多くの人に発信が届く分、正直嫌な思いをすることも少なくありません。
でも今回の台風では、困ったときに心配してくれる人がこんなにいるんだな、と実感しましたし、私がコツコツやってきたことには意味があったんだな、と改めて思えました。
だからというわけではないですが、これからも島のリアルな日常を届け続けていきたいです。
取材・文=仲奈々
写真提供=佐々木加絵
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