だんだん機嫌が悪くなったときには
もう一方、最初はふつうだったのに、だんだん機嫌が悪くなっていったとき。
「これはさらに2パターンあります。一つは、こちらの伝え方が至らなかったとき。
例えば『ここのカテゴリーが不調ですね』と、こちらが批評的なことを言うと、バイヤーの中には否定されたように感じる方もいます。そうなると言葉数が減り、うんうんとしか言わなくなる。明らかに気分を害されているのがわかります。そのときは、すぐに『申し訳ありません、こちらの提案不足ですね。勉強になりました』と謝ります。
もう一つは、原因が外部要因であるパターン。例えば、途中でメールを見て、口数が減った、あるいは時間が長引いてタバコを吸いたくてイライラしているなど。そういうときはワンブレイク入れて、空気を戻すといったことをします」
相手にいろいろ話をしてもらえるように、こちらが場づくりをしていく。そのためには、相手の好きなことや喜ぶことに興味を持つ。「結局のところ、営業は恋愛みたいなものです(笑)」と若村さんは笑う。
部下が話しやすい空気をつくる
関東甲信越支社の支店長になって約8カ月。5人のメンバーのうち、3人は新潟、2人は東京にいるが、部下とのコミュニケーションにおいても雑談は欠かせない。
「私がメンバーに対して気をつけているのは、まず“心理的安全性を担保する”ことです。特に新潟のメンバーは、電話で私に悪い報告をしなければいけないとき、私の状況が見えない分、余計に神経を使うと思うのです。忙しいかな、予定が詰まっているみたいだけど、これは相談しないといけないし、と多分、考えている。ですから、こちらとしては、いつ電話がかかってきてもいいように、常に気持ちをフラットにして、かつ電話の第一声のトーンは一定にするように心がけています」
メンバーが「今、話しても大丈夫」という空気になるように、若村さんが雑談から始めることも多い。
「ときにはメンバーから、『1分1秒を争うから、そんな雑談はいいです』と言われることもあります(笑)。そんなふうに新潟のメンバーは顔が見えない分、安心して何でも話してもらえる本音のコミュニケーションがとれるように心がけていますし、東京でいつも会っているメンバーも、声をかけられたら手を止めて聞く、目を見て話す、というのは当たり前として、第一声はやわらかく答えて何でも言ってもらえるように、と思っています」