CDプロモーショントラブル、ライバル登場の衝撃

 AKB48劇場に訪れるファンはどんどん増え、連日、その夜の公演のチケットを買うため劇場窓口には午前中から長蛇の列ができるようになっていた。これを受けて翌2008年3月にはチケット購入方法が事前メールでの抽選制に変更された。順調に人気が上昇する一方、この年2月に発売されたメジャー8thシングル「桜の花びらたち2008」のプロモーションをめぐって問題が生じる。

 このCDを劇場で購入すると、メンバーごとに用意された全44種類のポスターから1枚がもらえ、さらに全種コンプリートすれば特別イベントに参加できるという特典が設けられた。だが、これが独占禁止法上の不公正な取引に抵触する恐れがあると指摘されたため、急遽中止される。あげく、この件をきっかけにレコード会社との契約が解除されてしまった。おかげでAKBはそれまで短いスパンでリリースしていたCDが、その後8ヶ月近くにわたって出せない時期が続いた。

 8月には初の姉妹グループとして名古屋を拠点とするSKE48がお披露目され、10月には劇場公演を開始する。同じく10月、AKB48がキングレコードに移籍して最初にリリースしたシングル「大声ダイヤモンド」ではセンターを前田敦子とともに、SKE48から当時11歳の松井珠理奈が抜擢され、メンバーやファンに衝撃を与える。

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11歳でセンターに抜擢された松井珠理奈 ©文藝春秋

それでも出場できなかった紅白

 AKBが新たな展開を迎えようとするなか、年末には2度目の紅白、それも単独での出場に期待がかかった。11月にNHKホールで開催されたAKBのコンサートでも、マスコミ向けの取材で1期生の大島麻衣が「紅白といえばNHKホール。きょうは最後のお願いにやってまいりました!」と発言している。だが、結局、この年の紅白出場はかなわなかった。

 3期生の柏木由紀によれば、「大声ダイヤモンド」が好調でメンバーに自信がついてポジティブなムードになっていたのが、紅白に出場できないとわかるや暗転したという。しかし、このことは彼女に大きな糧となったらしい。