消費者に好まれる容器タイプについてマーケティング部で調査したところ、最終的にカップ焼きそばは丸く浅い皿型カップを採用することに決まった。
「焼きそばは皿で食べるもの。うどんはドンブリで食べるもの」
いろいろ調査した結果、そんな当たり前の結論になった。日本人の体に染み付いた習性を大切にして、誰もがおいしいと感じる容器の形を選ぼうということになった。(『カップヌードルをぶっつぶせ!』67頁)
〈ペヤング ソースやきそば〉の角型容器が縁日の屋台をイメージして作られたのと対照的に、〈日清焼そばU.F.O.〉は日常の食事で使われる丸い洋皿をイメージしたものだった。同じ焼きそばでも、発想が全く異なる点が面白い。
強烈な液体ソースとネーミング
安藤宏基がカップ焼きそばの開発で容器の次に重視したのはソースだった。
容器が決まると次に中身の検討に入った。焼きそばはソースで食べるものである。もっと正確に言うと「ソースの香り」で食べるものである。そこで焼きそばを鉄板で炒めたときの香ばしいロースト・フレーバーを再現することにした。(68頁)
安藤宏基がソース担当者に求めたのは、“1ヶ月に何回も食べたくなるガツーンとくるにおい”だ。そのソースが、《U.F.O.成功の鍵だった》と振り返っている。
私は「フタを開けたらソースの香りが家中に溢れるくらい強くしてくれ」と頼んだ。2人はオニオンとガーリックを焦がした「ロースト・ソース」を作ってきた。相当強いにおいだったが、「こんなんじゃだめだ、1か月に何回も食べたくなるガツーンとくるにおいにしてくれ」と注文をつけた。最後は、本当にこんな香りでいいのかというくらい、強烈な液体ソースが開発された。これがU.F.O.成功の鍵だったと思っている。(同前)
まるか食品が〈ペヤング ソースやきそば〉で重視したのは、“何度食べても飽きのこない味”だった。一方、〈日清焼そばU.F.O.〉は“1ヶ月に何回も食べたくなる”味を志向した。目指している地点は似ているようで全く違う。それが味付けの差として現れるのだろう。
“UFO”=「未確認飛行物体」「空飛ぶ円盤」を意味する商品名については、命名の経緯を次のように語っている。
苦労したのはネーミングだった。
焼きそばのネーミングがどうしても決まらないので悩んでいた。社内で広告代理店の人やプロダクト・マネージャーと一緒に会議を開いていたときのことである。何気なく丸いプラスチックのフタをフリスビーのように投げてみた。すると、空中をすべるように飛んでいったのである。空飛ぶ円盤そっくりだった。そのときにU.F.O.という名前がひらめいた。

