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実際、性犯罪では、加害者より被害者の方をクローズアップする報道がよく目につく。写真や記事の見出しも被害者を前面に出し、加害者はその陰に隠される。報道内容も、加害者より被害者の行動や人となりを詳しく伝える。その方が話題性があるから、といった理由を超えた何かがあるのではないだろうか。
とりわけ『Black Box Diaries』を巡る議論では、この「悪性格の立証」の対比は顕著だ。修正された日本版が公開されて以後も、加害者である山口氏ではなく、被害者の伊藤氏の方ばかり、どんな問題があるか精査する状況になっていることを、私たちは自覚した方がいい。裁判が終わって勝訴した後も、そうした状況が続く社会は、性暴力被害者にとって過酷すぎる。
柴田 優呼(しばた・ゆうこ)
アカデミック・ジャーナリスト
コーネル大学Ph. D.。90年代前半まで全国紙記者。以後海外に住み、米国、NZ、豪州で大学教員を務め、コロナ前に帰国。日本記者クラブ会員。香港、台湾、シンガポール、フィリピン、英国などにも居住経験あり。『プロデュースされた〈被爆者〉たち』(岩波書店)、『Producing Hiroshima and Nagasaki』(University of Hawaii Press)、『“ヒロシマ・ナガサキ” 被爆神話を解体する』(作品社)など、学術及びジャーナリスティックな分野で、英語と日本語の著作物を出版。
アカデミック・ジャーナリスト
コーネル大学Ph. D.。90年代前半まで全国紙記者。以後海外に住み、米国、NZ、豪州で大学教員を務め、コロナ前に帰国。日本記者クラブ会員。香港、台湾、シンガポール、フィリピン、英国などにも居住経験あり。『プロデュースされた〈被爆者〉たち』(岩波書店)、『Producing Hiroshima and Nagasaki』(University of Hawaii Press)、『“ヒロシマ・ナガサキ” 被爆神話を解体する』(作品社)など、学術及びジャーナリスティックな分野で、英語と日本語の著作物を出版。
