連続テレビ小説『ばけばけ』が12月26日の第65回をもって2025年内の放送を終え、ドラマは折り返し地点を迎えた。
年内最後の週となった第13週「サンポ、シマショウカ。」は、怪談を通じて知らず知らずのうちに魂の深いところで共鳴しあっていたトキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)が互いの存在の大きさにやっと気がついた、というエピソード。ふたりの感情が高まっていく過程の繊細な描写が目を引いた。
ラストシーンは、夕暮れ時の宍道湖沿いを散歩するトキとヘブンの姿。物語前半の帰結が「ふたりで散歩をする。そして手をつなぐ」であるのが、とても『ばけばけ』らしい。それまで「女中」と「雇い主」という関係性だったふたりが、ここで初めて対等な関係になったというわけだ。
「相手の気持ち、知ることで、ええことに……」
『ばけばけ』は「怪談」や「明治の市井を生きる人々」などをテーマとしているが、いちばん重大なテーマはやはり「コミュニケーション」なのではないかと、3カ月間ドラマを見てきた筆者は感じている。
制作統括の橋爪國臣氏は各所のインタビューで本作の趣旨について、「明治の市井の人たちの生き様を描くことで、現代社会の混沌のなかで『生きづらさ』を抱える人たちにも届くものがあるのではないかと考えた」と語り続けていた。明治でも令和でも、いつの世でも多くの人が感じている「生きづらさ」。その根因を掘り当てようとすると、やはり「コミュニケーションの断絶」に行き当たる。
トキがヘブンに怪談を語り出した第12週・第59回で、トキが「子捨ての話」を語ると、ヘブンは自分を捨てた父親に思いを馳せ、「ユルス、ナイ」と言う。しかしトキは、この怪談を「捨てられた子は何度生まれ変わっても同じ親のもとに生まれることを望んだ。それを知った親はこの子を大切に育てるに違いない」と、生みの親と育ての親がいる自らの生い立ちも重ねながら解釈する。



