「体長3メートル」「体重300キロ」“巨熊”の情報が次々と
さらに雪の中で寝ている熊を見つけたが、多くが恐れて発砲しない中、6人のアイヌが狙撃。2発が腹に命中し、立ち上がった熊に1人が日本刀を突き刺した。熊は逃げたが、一同はさらに約4キロ追跡してようやく捕獲。体長1丈(約3メートル)余で稀有の巨熊だった。
別の地元紙・北海タイムス(北海道新聞の前身の1つ)の同年12月7日付にも「又も大熊 見事に射止(いとめ)らる」という記事が見える。芦別村(現芦別市)で同年春以来、巨熊の出没が甚だしく、5~6月以降射殺が3頭に及んでいる。最近はまた毎晩出没。12月1日などは午後10時ごろ、民家で飼っていた鶏を食い、家人が留守の別の民家に板戸を押し破って侵入し、豚肉などの食料を食い荒らしたうえ、納屋で寝込んだ。
翌朝帰宅した家人が見つけ、別の男性が銃で熊の胸部を射抜いた。熊は窓から飛び出して山へ逃げた。3日、13~14人が足跡を頼りに追跡。約4キロ先の山頂近くで発見。前日発砲した男性が放った1発が急所に命中して射止めた。「身の丈八尺(約2.4メートル)で体重80貫(約300キロ)余の巨熊だった」とある。同じニュースは翌12月8日付小樽新聞にも掲載されている。
「大騒ぎ」「大恐慌」も、当時情報には誤りや遅れも
そんな中、12月13日付北海タイムス社会面の欄外にごく短い記事が。
大熊人を喰ふ(食う)
苫前村(現苫前町)サンケベツ(三毛別)に大熊現れ、さる10日、2名食い殺され、また11日夜も5名殺され、5名負傷し、大恐慌中(苫前電報)
当時の新聞は締め切り間際に飛び込んだニュースは欄外に掲載していた。一方、同じ13日付の小樽新聞は通常の欄に「猛熊七名を咬殺し五名に重傷を負は(わ)す(12日苫前発電)」として同内容を報道。末尾に「全村目下大騒ぎなり」と記した。両紙によれば計7人死亡5人負傷。確かに現地は「大騒ぎ」で「大恐慌」だっただろうが、実際の発生は12月9日だったことなど、この事件の報道は誤りが多い。さらに現場が僻地のため、情報が決定的に遅い。



