そして12月19日付で小樽新聞は社会面トップで「山に吼(ほ)え野に嘯(うそぶ)き 老幼数名を咬殺した猛熊狩」で9日の惨事を熊の絵入りで伝えたが、発生した日をはじめ誤りや不正確な点が多い。地元紙でもそうだから、中央紙は推して知るべし。福澤諭吉創刊の時事新報が12月19日付で「小樽18日特電」で「五人大熊に噛(かみ)殺さる 天鹽國(天塩国)の惨事」を短く報じた程度だった。そして――。

やっと事件の概要が紙面に載り始めた(小樽新聞)

「500名で退治」熊を射殺・駆除したと報道

 12月20日付北海タイムスは「巨熊遂に殪(たお)る 猛悪無比の苫前大熊五百余名で銃殺」、小樽新聞は「猛熊漸(ようや)く退治せらる 三毛別界隈(かいわい)の住民始めて安堵す」の見出しで、いずれも14日に熊を射殺・駆除したことを報じた。

羆「退治」を報じる小樽新聞

 2紙とも「熊は金毛で背丈は十尺(約3メートル)以上」と記述。中央紙も東京朝日が同じ日付で「巨熊數(数)人を殺す 五百名で退治す」と一連のいきさつを「札幌特電」で伝えた。

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東京朝日も事件を小さく扱った

 時事新報は21日付で「人喰熊退治さる 六人噛殺の大熊 包囲銃殺せらる」と「小樽20日午後特電」で報道。徳富蘇峰の國民新聞も同じ日付で「金毛の巨熊五人を噛殺す 首尾好く射止む」を「札幌電報」で載せた。(つづく)

次の記事に続く 《熊に襲われ8名死亡》「助けて!」「腹破らんでくれ!」腹部を食い、内臓を引っ張り出し…「三毛別ヒグマ事件」“生き地獄”の一部始終

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