地図から消えた2つの路線

 さすがにいまの志布志、町中を歩く限りはそれほどの活気は感じない。それでも国道を走るクルマは多く、道沿いにはファミレスからホームセンターまでが揃っている。千軒の町の面影はかろうじて、といったところだろうか。

 

 水陸交通の要衝として栄えた、鹿児島県東端の町・志布志。だから志布志駅は、かつて鉄道においても重要なターミナルだった。いまは1日8本の日南線だけになってしまったが、かつては他に2路線が乗り入れていたのだ。

 

 ひとつは、大隅半島を横切って鹿屋や垂水に向かう大隅線。もうひとつは、北に向かって山を越え、都城とを結ぶ志布志線。全盛期には機関区も置かれ、蒸気機関車が行ったり来たりしていた大ターミナルだった。

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 きっと、志布志港の貨物を列車に積み替えて運んだこともあったろう。志布志駅は文字通りの、大隅半島の玄関口だったのである。

 いま、機関区の跡はすっかり消えて、鉄道記念公園になっている。大隅半島で活躍したという蒸気機関車も展示されていた。

 

 訪れたのがちょうど年末、クリスマス。おかげでイルミネーションが取り付けられて妙に華やいでいたが、もしかしたらそれは機関区のあった時代の志布志駅の輝き……なのかもしれない。

撮影=鼠入昌史

次の記事に続く 雑草に埋もれたレール跡、旧日本軍が残した塹壕、プツンと切れた高架まで…大隅半島から39年前に消えた「志布志線」の痕跡をたどる

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