1982年6月。日本中を震撼させる猟奇的な殺人事件が起きた。新宿・歌舞伎町のディスコで遊んでいた14歳の少女2人が、ナンパされた男の車によって千葉県の山林へ連れ去られたのだ。

 一人は奇跡的に生還したが、もう一人の少女は無惨な姿で発見された。両アキレス腱を切断され、頸動脈を深々と切られた遺体――。犯人は「トシちゃんヘア」の優男風だったとまではわかったものの、逮捕されることなく時効を迎えてしまった。

 当時、歌舞伎町に入り浸り、被害者の友人を取材していたのがフリーライターの本橋信宏氏。ここでは同氏の著書『昭和の謎』(大洋図書)の一部を抜粋し、未解決事件の闇に迫る。

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写真はイメージ ©moonmoon/イメージマート

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凄惨な14歳少女の殺人事件

 1982年6月6日。日本中を震撼させた事件がおきた。

 東洋一の殷賑地帯、新宿歌舞伎町のデイスコ「ワン・プラス・ワン」で踊っていた14歳、中学3年生の二人の少女が、店を出てゲームセンターで遊んでいると二十代の若者から声をかけられた。この街ではありふれた光景である。ナンパされる回数は少女にとって勲章のようなものだ。二人の少女は家出中で、当時、深夜営業のディスコは、格好の遊び場だった。

 少女二人は若者の乗ってきた国産車に乗り、深夜のドライブを楽しもうとした。行く先は東方面、千葉県。声をかけた若者は当時、人気絶頂だった田原俊彦のヘアスタイル、トシちゃんヘアをした今風の青年だった。

 疾走するクルマの中で、遊び疲れた少女はいつしかシートに身を任せ、寝てしまった。クルマはひと気のない郊外に向かう。川が近くに流れる雑木林にクルマが到着する。物音がしたので起きると、もう一人の少女の姿が見えない。

 男に言われて車外に出ると、突然、男が襲いかかり、首を絞めてきた。気を失った少女が目を覚ますと、男とクルマは見当たらなかった。付近を見ると、一緒だった少女が横たわっていた。首と両足首から大量の血液が流れ、すでに体が硬直していた。

 事件が発覚し、警察が大捜査網を敷いた。現場は千葉県千葉市の郊外。殺された14歳の少女は、逃げられないように両足首のアキレス腱をナイフで切断され、首の頸動脈を深々と切断されトドメをさされていた。