クリスティは殺人鬼としての一面をおくびにも出さずに夫婦と交流を深める。やがて、エヴァンスから第2子の相談を受けたことをきっかけに、秘密裏に堕胎手術を行うと偽り、ベリルを自室で凌辱した後、彼女と娘ジェラルディンを絞殺。
遺体は当初、アパートの空室に隠し、前出の作業員2人が洗濯場を後にしてから遺体を移動した。ちなみに、クリスティは普段から職場の同僚に「自分は堕胎手術ができる」と自慢していたそうだ。
裏庭に埋葬した「遺体」が見つからないように…
裁判で嫌疑をかわし、エヴァンスが処刑になった1ヶ月後の1950年4月、クリスティは過去の犯罪歴から会社を解雇され、今度は英国道路サービスの事務員として働き始める。
そのころ、アパートの1階と2階の空室を埋めるために新しい入居者がやってきた。入居者は主に西インド諸島からの移民で、クリスティと妻エセルは彼らに人種差別的な態度を取り、オーナーの許可を得たうえで新しい入居者が裏庭を使用することを禁止する。これは表向きは隣人との空間を確保するためだったが、真の目的は、裏庭に埋葬された遺体が掘り起こされるのを防ぐためだったようだ。
ほどなく、クリスティとエセルの関係は険悪なものになっていく。それまで留守にしがちだったエセルがほとんど家から出なくなり、毎日のように夫の勃起不全を馬鹿にし始めたのである。売春婦を自宅に呼べないストレスに加え妻からの罵り。クリスティの我慢は限界に達し、1952年12月14日の朝、エセル(同54歳)をベッド上で絞殺し、遺体をリビング床下に掘った穴に埋める。