光ではなく陰に寄り添う
望月 私が初めて愛さんの存在を知った時は素敵な女性の方だなと思っていました。でも、ジェンダーにまつわる愛さんの背景を知りその経験から新しい表現に挑戦されている姿を見て、愛さんという個人についてもっと知りたくなって。
斎藤 僕と愛さんは知り合って結構時間が経っていますが、ファッションイベントのような華やかな場所でご一緒することが多かったです。隙間時間に艶やかな衣装のまま「お腹減ったね」って混雑した町中華で二人でご飯を食べたことがありました。その時、いろんな話をさせてもらったんです。芸能界は一見華やかですが、強くライトが当たれば、陰は当然濃くなる――愛さんに限らず、僕自身も強くそう感じていました。だからこそ、愛さんの光の部分ではなく、陰の部分に寄り添った方が和田先生だったんだということを理解したんです。そんな思いもあって、僕はカメラが回っていなくても、春希さんに対しては和田先生として向き合っていました。
望月 私は撮影期間中、愛さんの持っているスーパーエナジーを自分の中からどう見つけて、それをどのように表現するかをずっと考え続けていました。だから、工さんと同じで、カメラが回っていない時のリアルの温度感も大事だったと思います。撮影の間、和田先生と工さんは私にとってアロマオイルみたいな存在でした(笑)。スチームの蒸気と一緒にいい匂いが漂ってきて、つかむことはできないけど、ふんわりとそこにいらっしゃり、とても安心感がありました。
斎藤 オイルが酸化してなくてよかったです(笑)。
望月 工さんは本当にポジティブな意味でオーラを消して、その場所にいる方なんだと思いました。
斎藤 和田先生は2007年に亡くなられたので、僕がした役作りはフォルムや所作、筆跡などのディテールを息子さんたちにうかがうことでした。僕は撫で肩で、右がどうしても落ちるんですけど、先生は左が落ちるとか。和田先生の出で立ちで愛さんと会った時、愛さんは「あぁ、先生がいる」と言って下さって。
望月 和田先生の施術を受けられた方は出演者の中にもいらっしゃいましたね。



