斎藤 愛さんの自著『素晴らしき、この人生』と、和田先生の生きた証というか心の輪郭みたいなものを残した先生とご家族(深町公美子氏)の共著『ペニスカッター 性同一性障害を救った医師の物語』が原案になった作品なので、身の引き締まる思いでした。変な話、僕は和田先生に運命を感じているんです。
望月 工さんもそうだったんですね。
斎藤 和田先生が形成外科を目指したのは医学部時代に癌の摘出手術で顔を半分失くした患者さんが医療的には完治したと消毒だけされて帰されることに衝撃を受けたからだとか。当時、性別適合手術はタブーとされていた医療行為でしたが、和田先生は患者の日常にとことん寄り添おうとしました。そんな先生の心根が医療を志す方々のヒントとなることを願っています。あるいは、和田先生がされたような、人に寄り添い支えるという一見地味な輝き方に美学を感じる方がいらっしゃるかも。
望月 私はこの作品によって、鏡の前に立つ人が増えたらいいなと思っています。鏡の中の自分と目が合った時に想像がどんどん広がっていって、もともと自分が持っている輝きを“セルフラブ”で包み込む行動につながれば。「自分自身でいること」が私の希望だし、「This is I」ってそういうことだと思うから。
もちづきはるき/2007年生まれ。東京都出身。これまでの出演作としてMBSドラマ『恋をするなら二度目が上等』(24)映画『違国日記』(24)舞台「ライチ☆光クラブ」(25)。2月10日より世界独占配信されるNetflix映画『This is I』(松本優作監督)の主役を約2カ月間のオーディションによって射止めた。
さいとうたくみ/映画出演作に『シン・ウルトラマン』(22)『新幹線大爆破』(25)など。初⻑編監督作『blank13』(17)では国内外の映画祭で8冠を獲得。児童養護施設のドキュメンタリー『大きな家』(24)で企画・プロデュースを務めた。被災地や途上国での移動映画館cinéma birdを主宰。


