ダイブできそうなくらい海ギリギリ
最初に、「THE KNIGHTSBRIDGE 天瀧」というマンションを見た。香港資本のマンションで、1週間前から内見が始まったばかりだという。17階の部屋は、120平方メートルだ。東京都内の平均的なファミリーマンションは70~80平方メートルなので、それよりは広い。価格は8億円だと青年が言った。
「だけど狭いから、ふた部屋買う方も結構いますよ。壁をぶち抜けば240平方メートルになるでしょう。16億円にプラス工事費1億円くらいかな」
22階の部屋は、132平方メートルだった。階高があるため少々高めの12億円。とはいえ、17階も22階も、窓から見えるのはほぼ海で、ベランダからヴィクトリアハーバーにダイブできそうなくらい海岸ギリギリに建っていた。
タブレットを操作していた青年が、「あっ」と声を上げる。
「あぁ、この部屋、たった今申し込み予約が入りましたね。あなた達、欲しければ入札になりますね」
内見者はひっきりなしにやってくる。ひとつの部屋には、20人くらいの人がいた。
トイレのドアを開けた時、ギョッとした。明らかに使用した痕跡があった。新築マンションなのにだ。この時私は、ここが増え続ける人口を飲み込む場所であると再認識した。
滑走路マンションの建設計画の進捗は今半分くらいだと青年は言った。着工から5年、残り2~3年で滑走路のすべてをマンションが覆い尽くすという。
「全棟が完成すると、13万人が暮らす街になるんだ」と、青年はワクワクした様子で語った。1万2000人が居住予定の晴海フラッグの10倍を超える規模だ。
ダサい中国資本マンション
滑走路で次に見たマンションは、中国資本のものだった。ここまで違うかと驚くほど、安普請でダサい部屋だった。マンションの内廊下を歩くと、何か調理しているのか生臭いにおいが鼻をついた。モデルルームの家具やインテリアも、センスはイマイチだ。陳腐というか、安っぽいというか、偽物っぽい。しかし、中国本土からの移住者によりほぼ完売していると説明された。
リゾートホテルのようなプールを備えた豪勢なタワマンだが、居住者のマナーがよくない。大声で喋る。リードをつけずに犬を歩かせる。歩きタバコは当たり前。ぶどうを片手に立ち食いし、皮を吐き出す。新築から2年ですでに数部屋でボヤ騒ぎがあったらしい。購入を祝って爆竹をしたのが原因だったそうだ。