国土交通省が遅延対策を見限ったわけではない。同省が2025(令和7)年の「第217回 通常国会」に提出した「令和7年版交通政策白書」のなかで、「遅延対策について、鉄道事業者に対して更なる改善の取組を求めていくため、遅延の現状と改善の状況を分かりやすく『見える化』する等の取組を進めている(p50)」とある。

利用者に「改善の状況」が届いていない

このうち、「遅延の現状」は、鉄道事業者各社が「遅延証明書の発行状況」を公開したことで達成したと言えそうだ。かつて駅で配布していた「遅延証明書」は、いまやインターネットで入手できる。JR東日本だけではなく、たいていの鉄道事業者は過去1カ月分に対応している。しかし、履歴が1カ月しかないため年間比較まではできない。

「改善の状況」は取り組みを進めていると記述しているが、その成果が発表されていない。鉄道事業者が発行する「中期経営計画」や「移動等円滑化取組計画書」などをひとつひとつ当たる必要がある。これでは「取り組んだ」とはいえない。

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2015年に公開された国土交通省の「遅延対策ワーキング・グループ 報告資料」によると、「鉄道事業者は、5分以上の遅れを遅延として遅延証明書を発行、30分以上を輸送障害として国に報告しているが、両者は原因・態様が異なっている」とあり、鉄道事業者を一様に比較した資料が作りにくいのかもしれない。

しかし、鉄道の混雑対策や踏切対策では一様の基準を作り、鉄道事業者などに対策と報告を求めている。遅延対策についても、国土交通省が指導的立場で報告仕様を統一し、国として対策と支援ができる環境を作っていただきたい。

「30分以内の遅延」は利用者が起こしている

先に挙げた「遅延対策ワーキング・グループ 報告資料」によると、利用者から見た遅延の分類は3種類だ。

「いつものことで慣れている遅延」「しばしば発生するちょっとした遅延」「稀に発生する長時間遅延」である。