日本の大学教授や歴代大統領も

 ファイルには世界的に名を知られる各界著名人の名が大量に含まれている。イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、レス・ウェクスナー(女性下着ブランド、ヴィクトリアズ・シークレット創設者)、リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ創立者)、スティーブ・バノン(トランプ政権第1期の首席戦略官、極右インフルエンサー)、ハーヴェイ・ワインスタイン(元ハリウッド随一の大物映画プロデューサー。多数の女性への性的暴行により、現在は刑務所に収監中)、ウディ・アレン(映画監督)、ノーム・チョムスキー(言語学者)、ディーパック・チョプラ(マインドフルネスの世界的権威)などだ。現千葉工業大学学長、元マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の伊藤穰一など日本人の名もある。

 何より現大統領ドナルド・トランプ、元大統領ビル・クリントンの名がある。共にエプスタインとの親しい交流が以前より広く知られている2人だ。

 もっとも、ファイルに名があること自体は犯罪への加担やモラルの欠如を意味せず、これが世界を戸惑わせ、かつ全容の解明が求められている理由だ。

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(左から)ドナルド・トランプ氏、メラニア・トランプ氏、ジェフリー・エプスタイン元被告、ギレーヌ・マクスウェル受刑者 ©getty_Davidoff Studios Photography

各界の著名人が次々に辞職

 エプスタイン・ファイルに名があったことにより、すでに職を辞した者も多く、その所属分野は政界、財界、美術界、学界など多岐にわたる。

 以下は現時点での、アメリカでの主だった辞職表明者。

・ラリー・サマーズ(元クリントン政権の財務長官、元ハーバード大学学長):ハーバードの学長を退いた後も同大学で教鞭を取り、OpenAIの理事も務めていたが、エプスタインとの交流、特に大学への寄付金についての調査を受け、公の活動から身を引くと発表。
 

・キャシー・ルエムラー(元オバマ政権のホワイトハウス顧問):名門投資銀行ゴールドマン・サックス法務最高顧問を辞職。18歳年長のエプスタインから高級ハンドバッグや毛皮のコートなどを受け取り、「ジェフリーおじさん、ありがとう!」と記した礼状を出していた。
 

・デヴィッド・ロス(ホイットニー美術館、ボストン現代美術館などの館長を歴任):エプスタインとの交流により、ニューヨークの有名美術大学、スクール・オブ・ビジュアル・アーツ学部長を辞任。
 

・コロンビア大学歯学部6名:2012年、エプスタインは同大学歯学部に不合格となった、当時の自分の恋人(22)を入学させるために多額の寄付金を納め、その件にかかわった学部長を含む6名が同大との関係を絶たれている。

ロス五輪会長にも疑惑が

 この記事の執筆中にも新たな著名人の名が浮上した。ハリウッドのスポーツ・マーケティングおよびタレント・エージェンシー Wasserman社のCEOで、2028年ロサンゼルス・オリンピック/パラリンピック競技大会組織委員会の会長(ロス五輪会長)であるケイシー・ワッサーマンだ。

ミラノ・コルティナ冬季五輪のオフィシャルサイトではロス五輪の会長としてケイシー・ワッサーマン氏が紹介されている

 今回公開されたエプスタイン・ファイルから、ワッサーマンからギレーヌ・マクスウェル(※)へ送信された、性的な関係をにおわせるメールが露見。人気シンガーのシャペル・ローンなどWasserman社の所属アーティストの一部は同社との契約を破棄したと声明を出し、それを受け、ワッサーマンは同社を売却すると発表した。しかしオリンピック組織委員会の理事会はワッサーマンを擁護し、ロス五輪会長に留めるとしている。

※ギレーヌ・マクスウェル:エプスタインの恋人と呼ばれていた女性。背後ではエプスタインのために少女たちをリクルート、グルーミングし、エプスタイン以外の男たちのもとにも送り出し、さらにはマクスウェル自身もエプスタインとともに少女に性加害を行っていた。