ロンドン五輪で3得点を挙げてべスト4位入りに貢献し、日本代表としてもプレーした元サッカー選手の大津祐樹さん(35)。2023年12月に現役を引退し、2025年11月1日付けで、ブランド時計の中古品・新品販売などを手がける年商約300億円の企業「株式会社コミット」の代表取締役社長に就任した。

 いったいなぜ、サッカー元日本代表が年商300億円企業の社長に就任することになったのか――。

 大津さんに、現役時代から取り組んでいたビジネスの内容や、コミット社長就任の経緯、SNSについて、妻・久冨慶子アナとの結婚生活に至るまで、話を聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く

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大津祐樹さん ©細田忠/文藝春秋

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選手を引退したことでキャリアが終わった、という概念がない

――大津さんは、2023年12月にプロサッカー選手を引退しました。16年間のプロ生活、悔いなく、やり切ったという感じだったのでしょうか。

大津祐樹さん(以下、大津) 僕は目標を高く持ち続けるタイプなので、クリスティアーノ・ロナウドやメッシになりたかったですし、バロンドールを取りたかったんです(笑)。

 そういう意味では、サッカー選手としては自分の目標を達成できなかったので、満足できる感じではなかったですね。

――とはいえ、ロンドン五輪で3得点を挙げてべスト4位入りに貢献し、海外移籍も実現しました。サッカー選手として結果を残してきたように見えます。キャリアの中で印象に残っている試合などもあるのでは?

大津 それ、よく聞かれる質問なんですけど、本当にないんです。僕は過去に満足したりするのがあまり好きじゃなくて。

 もちろんサッカー選手としてプレーしていた頃も良い時代だったし、幸せだったんですけど、僕は今が大事ですし、今が楽しいんですよ。そういう人生を送りたいとずっと思っているんです。

 僕はサッカー選手を引退したことでキャリアが終わった、という概念がなく、引退前と引退後でキャリアを切り分けて考えていないんですよね。「サッカー選手時代、すごかったよね」というキャリアにしたくない。常に今の自分が一番最高であるというのが、自分の生きる上でのポリシーなんです。

ロンドン五輪では、3得点を挙げてべスト4入りに貢献した ©文藝春秋

指導者になるビジョンはなかった

――選手時代から引退後の展開について何かイメージしていたのですか。

大津 引退したら指導者になる人が多いですが、僕にはそのビジョンがありませんでした。だから現役のとき、周りにはC級の指導者ライセンスを取りに行っている選手が多かったけど、僕は行かなかった。今もライセンスは持っていません。指導者はやらないと決めているのにライセンスを取る意味がないからです。

 じゃあ現役時代に何をやっていたかというと、世の中の状況を知ろうとしていました。特に経済ですね。23歳の時から株式投資を始めたのですが、その頃から日経新聞や株価などを携帯でチェックしていました。