移籍した当時のマリノスはめちゃくちゃだった

――マリノスでは、どんな経験をされたのでしょうか。

大津 僕が移籍した2018年当時のマリノスは、クラブの運営、選手、サポーターの関係がぐちゃぐちゃで、めちゃくちゃ仲が悪かったんです。移籍した当初は「なんだ、このチームは? 誰のために何のためにサッカーやってんだろう」って思いました。でも逆に、これがひとつにまとまったら強くなると思ったんです。

 選手は個人事業主で、チームは社長の集まりみたいな感じなんですよ。それをひとつにまとめてタイトルを獲るのはすごく難しいのですが、だからこそやりたいと思ったんです。

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 プレイングマネージャーみたいなことを考えてプレーする人はいないですけど、僕は当時、そういう意識でやっていました。

 選手には「こういう風にやってこうぜ」と呼びかけて僕の考え方に巻き込み、さらにサポーターやクラブも巻き込むことでチームが変わった結果、2019年にリーグ優勝することができたんです。

 

ここまで変われるんだなって感動した

――リーグ優勝を果たしたシーズン、大津さんが掛け合ったことで、クラブが「すべてはマリノスのために」というトリコールカラーのマフラーを販売することになり、サポーターの要望に応えましたね。

大津 すぐに動くのが自分の持ち味ですし、マフラーはおかげさまで完売しました(笑)。今でこそ「マリノスファミリー」と言われていますが、僕が来たときは「嘘つけ」っていうくらいぐちゃぐちゃだったから、ここまで変われるんだなって感動しましたね。

 ただ、僕一人が行動してできたことじゃない。できる人たちを巻き込んで、全員が共通意識を持てるようになったからこそ、現場の環境や空気感が変わっていったのかなと。

 ジュビロでもマリノスのときと同じようなことをしたら、同じような反応が出て、J2で優勝できました。そのときの成功体験が、会社の経営をしていく上での自信にもつながっています。

大津さんが掛け合ったことで、クラブが「すべてはマリノスのために」というトリコールカラーのマフラーを販売することになった(大津祐樹さんのInstagramより)

机上の社員教育よりも重要な、成功する組織に必要なこと

――サッカーから学んだ「組織が成功するために必要なこと」はどういうことでしょうか。

大津 チームのトップラインが全力で頑張ることです。そうすることで、そこについていこうとする人たちの仕事の質が上がっていくんです。

 僕は、トップラインの人たちが爆発的にがんばっている姿を見せることの方が、机上の社員教育よりもはるかに効果が高いと思うし、それが会社やチームのボリュームを上げていくことに繋がると思っています。

 僕がよく言うのは、自分ができることを部下にやれよっていうのではなく、できる人が部下の2倍の仕事をしてくれと。それを見て手伝いましょうかと声をかけてくる人は、できる人がやったことに気付き、学ぶ意欲があるから成長していく。そういう人を伸ばしていこうという話をよくしています。

 僕はそれが教育であり、成功する組織に必要なことだと思っています。

 

撮影=細田忠/文藝春秋

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