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いま食べたい、東京「夏うどん」ベスト3 うどん大好きライターが厳選!

「カレー」「冷やし坦々」「サラダ」で残暑も吹き飛ばす

2018/08/13

genre : ライフ, グルメ

note

自家製ラー油と花椒が“ちょうどいい”「冷やし坦々肉うどん」

 2017年にオープンした、東京で福岡・久留米のうどんが食べられる唯一のお店だ。今だから白状すると、“変化球”を出すタイプだと思っていなかったので、SNSで「冷やし坦々肉うどん」なる新作が提供されると知ったときは少々驚いた。

渋谷駅から徒歩8分くらいの路地裏に今年3月移転オープン

 というのも、こちらでは柔らかい麺と煮干しだしからなるクラシカルなうどんが常で、つまりその素朴さからすれば「冷やし坦々肉うどん」の文字は私には意外なほどポップに映ったのだ。が! これが結論から言えば、まさに夏にうってつけ。

自家製ラー油の冷やし坦々肉うどん880円。奥は福岡県民におなじみのかしわ飯240円

炒めた玉ネギと寝かせたネギ油の仕事ぶり

 坦々うどんというメニュー自体は珍しいものではない。事実、山椒による痺れの「麻(マー)」と唐辛子や辣油による辛みの「辣(ラー)」は今や中華の世界を飛び越え、このところうどん界でも注目されつつある。この時季のうどんの選択肢が広がる喜びの一方、ブームの加速とともに力任せな過激派ばかりもてはやされがちなようにも感じていたが、これはなんと優しい麻辣体験なのだろう。

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 少しくらいの攻撃なら甘んじて、などという覚悟はそもそも不要。自家製ラー油と花椒のアクセントはあくまでじんわり、はーはー、うっすら汗ばむ程度のいい塩梅。なによりスープ自体がたまらなくうまい。決して強い調味料を使っているわけではない。むしろ動物性だしは不使用ゆえすっきりと軽い飲み口だが、じっくり炒めた飴色玉ネギと寝かせることで深みを増したネギ油のネギ兄弟の穏やかな仕事ぶりを物語る味わい……そして、これらすべての要素が同店の代名詞でもある麺のソフト感をかき消すことなく、最適なバランスを保った一杯なのである。

INFORMATION

「久留米うどん」
東京都渋谷区東1-3-5 モアエクセレンス 1F
090-3901-0963
11:00~15:30
土日祝定休