伊藤忠・岡藤会長のすさまじい接待術とは?

 たとえばイギリスのチャールズ国王が天皇陛下、皇后陛下をもてなそうと思ったら、ロンドン市内の店でローストビーフを食べさせようなんて思うはずがない。バッキンガム宮殿に招いて、玄関まで迎えに出てきて、宮殿内の食堂へも自分で案内して、皇后陛下が座ろうとしたら、国王自ら椅子を引くだろう。

 ワインを選ぶのもチャールズ国王だ。1杯くらいはグラスに注ぐかもしれない。ひょっとしたら、ローストビーフもチャールズ国王が切り分けてくれるかもしれない。つまり、ゲストをもてなすのはあくまで主人なのである。

 ビジネスパーソンの場合でも、もてなしの采配をするのは幹事ではない。接待をする側のトップだ。相手側の椅子を引くのも幹事ではなくトップが自らやること。本来、客をもてなすのは主人、つまりホストだ。店の料理長やサービス係は代行しているにすぎない。

ADVERTISEMENT

 ホスト側は当事者意識を持って接待に臨むこと。当事者意識があれば味も知らない、サービスもわからない初めての店を選ぶなんてことにはならない。どういった店を利用したとしても、あくまで「自分はホストだ」という一点は忘れてはいけない。

 また、当事者意識が希薄なのは店の予約を部下にまかせる上司だ。本来は上司が店を決める。メニューも決める。席や席順もホストの上司が決める。手土産もあらかじめ決めておく。

 たとえば、総合商社の雄、伊藤忠の岡藤正広会長は接待の達人だ。

伊藤忠商事の岡藤会長は、伝統芸能と呼べるほどの接待テクニックを持っている ©文藝春秋

 岡藤さんは毎年、春になるとグループ会社のトップを招いて、毎週、ゴルフコンペを催している。コンペの組み合わせはもちろんのこと、賞品、コンペ後の食事会の会場、手土産、家にいる奥さんのための弁当の手配まですべて自らやる。こうなると、もう伝統芸の域にある。なかでも岡藤さんのそれは無形文化財とも言える。ちゃんと継承し、発展させていくべき接待の技だ。

次の記事に続く え、それもNGなの…? 「宗教・政治・プロ野球」だけではない、接待の場で「絶対に避けるべき」意外な話題とは

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。