「子どもは自分だけで育てるものじゃないという考え方がどこかにあるので、嫌だなと思いつつ、でも私もそうやって育ったしな、と受け入れました。それに会社から遠かったので、無理して子どもと一緒に暮らさなくても、会社の近くに一人暮らしをして、いっぱい働いたほうがいいのではないかという思いもありました」
その後、教団を離れ、地元に戻ってから別のパートナーとの間に2人の男の子をもうけた。しかし、このパートナーとも長続きはしなかった。
「基本的に、そんなに人を信用してないので。だから、パートナーとも続かないんですよ。それに私自身が、人生に大きな隠しごとをしているので、やっぱりどこかにわかり合えない部分があるんです」
子どもたちに父親がいなくても、今の暮らしがいちばん充実しているという加奈さん。保育園や学校への送り迎え、風邪を引いたら病院に連れて行く─。そんな当たり前の子育てができるようになったのは、やはり教団から離れ、地元に戻ってきてからだという。教団内で特殊な生活を送っていた加奈さんは、「初めて普通の親子っぽいことができている」と日常をかみしめる日々を過ごしている。
子どもに過去を明かすかどうか
では、自らの子には、過去を明かしているのか。
加奈さんは少し考え込んだ後に、「自分から話したことはないですが、1人目の子はうすうす知っているんじゃないですかね」と話した。
長女は幼い頃に道場に出入りし、教団関係者に預けられていた時期もあったので、話していなくてもわかっているはずだという。一方で、地元に戻った後に産んだ2人の子には話していない。
今、加奈さんがいちばん恐れていることは、自分の子が「オウム3世」と後ろ指をさされないか、ということだ。母親がオウムにいたというだけで、海外旅行ができず、公務員などなりたい職業に就けなかったとしたら……。いつまでも隠すことはできず、時機が来たら話すつもりだ。しかし、それがいつになるか、加奈さん自身も決めかねている。