決勝では先頭打者から被弾 実は首を痛めていた
でも覚えているのは、先頭打者ホームラン(苦笑)。1番の(エドゥアルド・)パレに甘く入ったスライダーを打たれます。あの日、僕は首を痛めていました。
試合前のブルペンで最後の1球を投げたとき、首が攣った感じになってしまったんです。寒さもありましたし、苦手な移動が続いたこともあったかもしれません。姿勢には気をつけていたんですが、あれは突発的なことではなく、兆候があった異変でした。
それでもアドレナリンが出ていたおかげか、試合になるとどうにかできちゃうんです。4回まで毎回、ランナーを出しながら最初の1点だけに抑えて、あとを(渡辺)俊介さんに託します。キューバも反撃してきましたが、最後は大塚(晶則)さんが締めて、日本が10-6でキューバを下しての優勝……日本は最初のWBCチャンピオンになりました。
僕は里崎さん、イチローさんとベストナインに選ばれて、MVPも獲得しました。僕は祝勝会でイチローさんに「靴、下さいっ」とねだって、スパイクをもらいました。「シャンパン臭くなってるけど、いいか」と訊かれたような……確かにシャンパンまみれで、球場に舞っていた紙吹雪がこびりついていました。
僕はシドニーとアテネ、2度のオリンピックで勝つことができなかったので、あのWBCで勝ち切ったということは野球人生の中でもすごく大きなことだったと思っています。それまで大事なところで勝てないと言われてきて、世界一を決める決勝でチームを勝ちに導くことができた。
しかも開幕前だったとはいえ世界の舞台に出てくる選手をしっかり抑えられたというのは、メジャーへ挑戦したかった僕にとってひとつの自信になりました。まぁ、いい印象を与えられたかな、くらいでしたけどね(笑)。