第1回WBCで世界一に輝いた日本野球。その頂点に立ったイチローは、「日本の野球」と「アメリカのベースボール」をどう捉えているのか――。ベースボールジャーナリスト・石田雄太氏の著書『イチロー・インタビューズ完全版』(文春文庫)より一部を抜粋し、研ぎ澄まされた言葉で語られた“基盤”と、世界と戦い続ける思考の核心に迫る。(全3回の3回目/1回目から読む)
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日本で培われた野球の“基盤”
第1回のWBCで、見事に世界一の座をつかみ取った日本の野球。イチローは野球人としての自分自身のバックグラウンドを、「日本の野球で育って、アメリカでベースボールをやっている」と表現した。
続けて、野球とベースボールのイメージを言葉で綴ったイチローは、研ぎ澄まされた言語感覚で、野球とベースボールの本質をくっきりと際立たせてくれた。野球とは、ベースボールとは、そして、世界一に輝いた現在の日本の野球とは――。
日本で打ったヒットは、1278本。
そしてメジャーで1279本目のヒットを放ち、日本での数字を超えた2006年7月26日の試合後、イチローはこう言った。
「僕の基盤は、やっぱり日本にありますからね……」
イチローの“基盤”。
それは、日本で培われたものだとイチローは言う。ちょうど2年前の今頃、イチローはこの“基盤”を、こんなふうに説明していたことがあった。その時の言葉を、もう一度振り返ってみる。
「僕は日本の『野球』で育って、それを基盤としてこっちで『ベースボール』をやっている、そんな感覚です。『野球』は極めるためのもので、すごく緻密。『ベースボール』は気晴らしのためのもので、すごくおおらか。僕はその両方を大事にしなければならないと思っています。だから野球はもっとおおらかでいいし、ベースボールはもっと緻密であって欲しい」
では、イチローのいう緻密さとは、具体的には何を指しているのか。
