伊藤みどりが語っていたこと

 伊藤みどりはすでに4年前、当時13歳だった島田について《トリプルアクセルよりも先に4回転トウループを降りている、今の時代の選手です。ロシア女子の影響もあり小さい頃からどんどん高難度のジャンプを練習している。昨季はトリプルアクセルも試合で挑戦していましたし、成功は近いでしょう》と言及していた(『Number』2022年1月20日号)。大先輩の予測どおり、島田はこの直後、トリプルアクセルに成功している。きょう3月8日未明(日本時間)にはエストニアでの世界ジュニア選手権で大会史上初の4連覇を果たし、シニアに転向する来シーズン以降の活躍に期待が高まる。

島田麻央。ミラノ・コルティナ五輪は、年齢制限によって出場資格を得られなかった ©文藝春秋

 ただ、気がかりなのは、ここへ来てフィギュアスケート界がジャンプよりも芸術性や表現力を重視する流れへと再び移ろうとしている気配があることだ。ミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得したアリサ・リウ(アメリカ)も12歳でトリプルアクセルを成功させているものの、今回はそれを封印し、断トツの表現力をもって日本の坂本花織らを抑えた。

 同五輪直前の今年1月には、国際スケート連盟が、フィギュアスケートの改革案として、現在のショートプログラムとフリーの合計得点で争う方式の廃止を検討していると報じられた。これはジャンプ偏重との批判を踏まえ、表現面をより重視するという案で、2027~28年シーズンでの導入に向けて検討が進められているという。

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(左から)坂本花織、アリサ・リウ、中井亜美 ©時事通信社

 しかし、ジャンプがフィギュアスケートの魅力の一つとして世界中に周知されている以上、その価値が大きく減じるとも思えない。伊藤みどりが世界で活躍を始めたころのフィギュア界も、芸術面と技術面のどちらに重きを置くかで揺れ動いていたことを思えば、おそらく今後も模索は続き、そのなかでまた新たなスターが登場してくるに違いない。

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