ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート女子では、日本勢から中井亜美が、銀メダルとなった坂本花織に次ぐ銅メダルに輝いた。

五輪でトリプルアクセルを決めた4人目の日本人女子選手に

 昨年(2025年)4月に17歳となった中井は、この2025~26年シーズンが、ジュニアからシニアに移行して迎えた最初のシーズンであった。今回の五輪では、ショートプログラム(SP)とフリーのいずれでもトリプルアクセルを決め、オリンピックでこの技に成功した4人目の日本女子選手となった。メダル獲得後には「この舞台でトリプルアクセルを決めるのが一番の目標でした。夢だったメダルも獲得できて嬉しい気持ちでいっぱいです」と語っている(「RONSPO」2026年2月28日配信)。

ミラノ・コルティナ五輪ショートプログラムでの中井亜美 ©JMPA

 中井は幼いころに浅田真央に憧れてフィギュアスケートを始め、小学5年生の終わりからは浅田と同じジャンプを跳びたいと、トリプルアクセルの練習を始めたという(「NumberWeb」2026年2月28日配信)。

ADVERTISEMENT

 さかのぼれば、中井の憧れである浅田は、地元・名古屋で同じコーチから教わった先輩の伊藤みどりがトリプルアクセルを練習するのを見て育った。伊藤こそ、女子では世界で初めてトリプルアクセルに成功した第一人者である。今回の中井の活躍を機に伊藤にも改めて脚光が当たった。

1992年アルベールビル五輪で銀メダルを獲得した伊藤みどり ©時事通信社

 フィギュアスケートのジャンプは難易度の低いほうから、トウループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツ、アクセルの順で、このうちアクセルは唯一、前向きの状態から踏み切って跳び上がるのが特徴だ。降りて右足で着氷するときはほかのジャンプと同じく後ろ向きの姿勢となるので、アクセルだけがほかのジャンプより半回転よけいに回っていることになる。トリプルアクセルが「3回転半ジャンプ」とも呼ばれるのはそのためだ。

 この大技はカナダのヴァーン・テイラーが1978年の世界選手権で初めて決め、以後、男子選手のあいだに広まっていく。伊藤が成功したのはテイラーより10年遅れの1988年だが、挑戦自体はその4年前に始めていた。