妊娠8~9カ月で2度目の逮捕
――身籠ったままで、2回目の逮捕ですよね。
廣瀬 裁判官から「あなた、出産は初めてですか?」と聞かれて、「初めてです」って答えたら「2度目の逮捕だけど、子供を中で産むようになってしまうことも考慮して、寛大な処分にします」って。いい裁判官だったんでしょうね。出所して2年しか経ってないのに、また逮捕なんて絶対に重いじゃないですか。だけど、懲役1年半という初犯並みの軽い刑期にしてくれたんです。
――前回の逮捕では、その年最高の覚せい剤所有量を記録していましたけど……。
廣瀬 2回目はピンポンが来たから全部捨てちゃったんです。トイレにダーッと。だから、モノは出ない。
――収監時は妊娠何カ月だったのでしょう。
廣瀬 8カ月か9カ月ぐらいです。でも、一般工場にいましたよ。お腹が大きいまま作業して。ごはんも他の受刑者と同じだったけど、行進はしないでいいとか、運動の時間はみんなよりゆっくりでいいとか、そういう配慮はしてもらってました。
――ちゃんと検診もしていたんですか。
廣瀬 外の病院に連れて行ってもらいました。エコーを当てて、性別もわかって。元気であれば性別はどっちでもよかったですけど。
一緒に捕まった彼と名前は考えましたね。向こうも刑務所だったので、「名前どっちが付ける?」「私はこの名前がいいと思うんだけど」「画数はこれがいいみたいよ」って手紙でやりとりして、名前を決めました。
刑務所内で作業中に破水
――出産は刑務所内だったんですか。
廣瀬 工場で普通に作業していたら破水してしまって。水みたいなのがビャーッと出ちゃったんです。やっぱり恥ずかしいじゃないですか。60人ぐらいいる工場だったし。尿漏れかと思って、手を挙げて「先生、なんか出てきちゃった。ちょっとトイレ。濡れちゃった」と言って。
作業時間内のトイレは本当は駄目なんですけど、特別に「行け」って言われて行ったら、ビッチョビチョだし、透明なんですよ。一応ナプキンをしていたんですけど、それも使い物にならないくらいビャーッと。
――お腹が大きいわけだから、破水だと分かりそうなものですけどね。
廣瀬 さすがにおかしいので「なんかこういうのが出てきてビッチョビチョになった」って言ったら、「そのナプキンをこっちによこしなさい」というので渡して。
新しいナプキンを付けてまた作業していたら、渡したナプキンを調べた医務課が「これは羊水だ」と判断したらしく。「今すぐ病院に行きますよ」と、手錠と腰縄を付けられて病院に向かいました。
写真=志水隆/文藝春秋
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