名古屋鉄道小牧線——。
名古屋市北部から濃尾平野を一路北を目指して犬山へ。沿線には春日井市や小牧市といったベッドタウンが並ぶ、いわば典型的な名古屋郊外の通勤通学路線である。
小牧市内には東名高速道路が東西に通り、物流基地や工業団地も抱えている。さらに沿線を歩いていると、時折上空に飛行機が飛んでいるのを見かける。県営名古屋空港。2005年に中部国際空港が開港するまでは、名古屋の空の玄関口だった。ついでに言えば、秀吉と家康が激突した小牧・長久手の戦いの舞台でもある。
いまは“事実上の通過駅”に過ぎないが…
と、まあそんなわけで、あまり他地域の人には知られていないかもしれないが、それなりに見どころのありそうな名鉄小牧線。その名古屋市側のターミナルは、上飯田駅という地下駅だ。
ただし、ほぼすべての電車が上飯田駅から地下鉄上飯田線に直通しており、地下鉄名城線と接続する平安通駅が事実上のターミナル。これに乗り継げば、小牧線沿線から名古屋の中心部までアクセスできる、という按配だ。
とどのつまり、名鉄小牧線は他の地域でも特段珍しくもない、地下鉄に直通する郊外路線なのである。
小牧・春日井側から見れば、味鋺駅のすぐ南で地下に潜り、庄内川と矢田川を渡って(というか潜って)、地下駅の上飯田駅に入る。このあたりも改めて語るようなことでもなく、“都心に入れば地下路線”というありふれたスタイルといっていい。
23年前まで存在した“幻の地上区間”
ところが、この現在の形ができたのはほんの20年ちょっと前なのだ。名鉄小牧線の上飯田~味鋺間が地下に潜り、さらに平安通~上飯田間の地下鉄上飯田線に直通するようになったのは、2003年のこと。
それ以前の小牧線は、地下ではなく地上を走っていた。それどころか、地下鉄との直通もなかったので上飯田駅は他の路線と接続のない、孤立した単独ターミナルだったのである。
その当時、乗り換え先の路線と言えば、約1km南に離れた平安通駅。いくらこの場所が名古屋市内の市街地の中とはいえ、さぞかし不便だったに違いない。
いったい地上を走っていた時代の小牧線、その跡はどれほど残っているのか。辿ってみることにしよう。


