少年誌で連載したSF漫画

高橋 まず原作ですが、連載が始まった「月刊マンガ少年」は少年誌でした。当時、少女漫画家が少年誌で描くことへの心境はいかがでしたか?

竹宮 いえ、ちょうどその頃に、読者は女性でも男性でもいいじゃないかっていう考えが、漫画界そのものにあったと思います。「マンガ少年」っていう雑誌そのものが、その先駆けになったんじゃないかな、と思います。手塚(治虫)先生たちが描かれていた昔の「漫画少年」を踏襲した名前を付けられているので、私は一も二もなく参加しようっていう気になってしまいました。

『地球へ…』

高橋 内容はSFですよね。もともとSFはお好きだったんですか?

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竹宮 はい。好きと言ってもSF読みとかではなかった。その頃はまだSF漫画が少なくて、文字の世界の方がはるかに多くて深いものがあったんですよね。もちろん私もそれほど分かっていたとは言えないんですが、少年漫画で育ってきて、少女漫画をあまり読まずに育ってきたので、少年漫画誌で描けるということに、いろんな可能性を感じました。どうしてもこのチャンスを逃したくない、一度きりだから、普通だったらやってはいけないかもしれないことを描いてしまおうっていう気持ちだったんですよね。

高橋 原作が始まった1977年は『宇宙戦艦ヤマト』のリバイバルがあり、翌年には『さらば宇宙戦艦ヤマト』が出て、世の中が最初のアニメブームに沸いていた時期でした。あるいは『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』といったハリウッドのSF映画が入ってきた頃です。そうした大きな流れは意識されていましたか?

竹宮 はい、そういう流れにあったことは、私にとっては後押しするようなエネルギーでした。ちょうどパリを旅行中に『スター・ウォーズ』が日本よりも先に上映されていると聞いて、フランス語で分からないんですけど、映像だけでも観てみたいと思って行った記憶があります(笑)。

竹宮氏

1980年劇場版:重厚な「映画」としての完成度

高橋 『地球へ…』は1977年に雑誌で連載が始まり、1980年に東映動画で劇場アニメ化されます。原作を読んだ時から「これはアニメになる」という予感がすごくしたのですが、竹宮先生はいかがでしたか?

竹宮 いや、そんな私みたいな端っこの方にいる者の漫画だから、アニメになるなんて最初は考えもしませんでした。アニメを専門的に知らないからですね。適してるのかどうかも分からないし。