主人公の構造と「少年」という可能性
高橋 アニメ界における主人公の構造についても伺いたいのですが、70年代の主人公といえば『ガッチャマン』や『マジンガーZ』のように「熱血少年」が中心でした。そんな時に先生のジョミーが登場した。非常に内省的で細やかなキャラクター像は、後のアニメに大きな影響を与えた気がします。
竹宮 私だけの事ではないかなと思うんですけど、少女漫画がだいたいそっちの方に動いていっていました。昔は少年漫画の方が私も好きだったんですけど、少女漫画がどんどん変わっていくようになって細やかさが出てきて、すごく内省的なキャラクターが増えてきました。
高橋 竹宮先生は一貫して「少年」を主人公に描かれますよね。少女漫画でありながら少年主人公というのは、先生の重要なモチーフなのでしょうか。
竹宮 そうですね。私にとっては少年が一番「描ける」存在なんですね。自分を乗せやすい存在なんです。少年を別の言葉に置き換えるとしたら、「可能性」だなと思っています。そういう可能性を持っているキャラクターを、ずっと自分のテーマみたいに作っていこうかなと思ってたんですね。
高橋 「ミュウ」という設定も、作中では「大人になることを拒否している存在」のようにも取れます。先生の中では、少年性とミュウは結びついているのでしょうか。
竹宮 はい、それはそうだと思います。年取らずに済むんだったら、皆さん少年のまま、少女のままでいたいですよね(笑)。それは当たり前のことだと思うんです。そういうふうに考えて描いていました。
高橋 原作ではジョミーはあまり恋愛や結婚をしませんよね。キースやシロエといった魅力的なキャラも出てきますが、ミュウを「自分たちのことだ」と感じるファンも多かったようです。
竹宮 なるほど。私は、人っていうのはちゃんと大人になるかっていうとそんなことはなくて、たぶんずっとその人のままなんじゃないかなと思ってるんです。姿形はもちろん老いていきますけど、中身は別に高校生時代と同じなんですよね。
高橋 確かに大人にならずに済むならなりたくないですよね。
竹宮 家庭を持って、子供たちを守るということになると、やっぱり大人の考え方って必要なんだろうなと思います。そこをうまく少年性を持ち続けてくれると、魅力的な大人が出来上がるんじゃないかなと(笑)。
