キリシタン時代と現代の信徒数

 キリシタン伝来当初、短期間に多数の改宗者が生まれ、その後の幕府の厳しい迫害にもかかわらず、幕末・明治初期にいたるまで、秘かに信仰を守り通したといわれてきた。もしそうならば、明治6年に禁教令が撤廃され、日本は文明開化のスローガンのもと、西洋文化を積極的に摂取し続けてきたわけであるから、その西洋文化の中核となっているキリスト教は大いに歓迎されてしかるべきである。

 まず数字の上で、キリシタン時代と現代を比較してみよう。キリシタン時代に信徒数が最も増大したのは、17世紀初頭から大禁教令が出された1614年頃で、最大で40万から45万人くらいの信徒が存在したといわれている。当時の日本の総人口は1000万人から1200万人程度であったから、総人口の約3%程度がキリシタンであったことになる。

 現代日本におけるキリスト教信徒数をみてみると、2014年の統計によれば、カトリックの在籍信徒数は43万6291人。その内1割の4万3027人が居所不明。年間の幼児洗礼2619人、成人洗礼3093人、死亡4201人で、受洗者数から死亡者数を差し引いた一年間のカトリック信徒増加者数はわずか1511人であった(『カトリック教会現勢二〇一四年』カトリック中央協議会)。

ADVERTISEMENT

※2024年統計によれば、カトリック在籍信徒数は40万7345人。そのうち4万4106人は居所不明。年間幼児洗礼1870人。成人洗礼2025人。死亡4930人。差引き年間信徒増減者数1035人減。『カトリック教会現勢二〇二四年』

 日本の総人口1億2700万人に対するカトリックの占める比率は0.34%で、カトリックとプロテスタント(諸派総計約57万人)を合わせても0.81%足らずで、1%にも達していない。人口比でいえば、キリシタン時代には、現在の10倍ものカトリック信徒がいたことになる。しかし、その多くはキリシタン大名による半強制的な改宗政策による結果であり、単純な数の上だけの比較であって、改宗者の質の問題はまた別である。

 明治以降、キリスト教は教育と社会福祉活動を二本柱とし、都市部を中心として、日本人に人道主義、博愛主義、平等主義といったヒューマニズム精神を植え付け、新たな倫理道徳のモデルを提供した。むろん江戸時代に深く染みついたキリシタン邪宗観は、地方都市や農村部、浄土真宗の勢力が強い地域において払しょくするのは容易ではなかった(五野井隆史『日本キリスト教史』吉川弘文館、1990年)。