①「尿酸値が正常=安心」という幻想

尿酸値を下げる薬を飲んでいれば、結石は防げると思い込んでいました。しかし、結石には種類があります。尿酸結石、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石……。尿酸値だけを管理していても、シュウ酸という別のルートから燃料が供給されれば、石は物理現象として誕生します。血液検査の数値が正常であることは、結石ができないことの証明にはならないのです。

②「痛みがない=問題がない」という油断

15mmの巨大石も、尿管に落ちるまでは静かに牙を剥いていました。痛くなってから対策を練るのでは、ビジネスで言えば倒産してから資金繰りを考えるようなものです。痛くないときこそ、構造的な問題を解決しなければならないと痛感しました。

③「健康情報」の不完全な受容

緑茶、ナッツ、チョコレート。これら自体が悪なのではありません。問題は「自分の体質に合っているか」という個別性の視点が欠けていたことです。多くの健康情報は「マジョリティに向けた正解」に過ぎません。特定の成分を凝縮して摂取する現代的な食習慣は、一部の人にとっては強力な結石生成器になり得るのです。

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結石は「取って終わり」ではない

結石は、一度経験すると数年以内の再発率が50%を超えると言われるほど、「繰り返す病」です。

救急病院では、目の前の石を取り除き、痛みを止めることが使命です。しかし、その後の「なぜ石ができたのか」という原因究明と、再発防止の生活指導まで踏み込める医療体制は、残念ながら十分とは言えません。結石治療は、救急対応の「急性期医療」と、日々の「慢性管理」の間にある、非常に管理が難しい病気なのです。

今回、私が亀田総合病院で得た最大の収穫は、石を取り除いたことそのものではなく、「自分の石の成分を知り、生活習慣を個別具体的に修正する指針」を得たことにあります。

「次の診察は1年後でいいでしょう。その時、1.6mmの石が大きくなっていなければ、あなたの食生活改善は成功です」