「婚約者にフラれた怒りから、電車に時限爆弾を仕掛けた」

 昭和43年の横須賀線爆破事件の犯人が語った動機は、あまりに身勝手なものだった。なぜ惨劇は起きたのか。執念の捜査で明らかになった犯行の全貌と、その“意外な正体”をひもとく。鉄人社の新刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりひもとく。(全2回の2回目/最初から読む

爆発物が置いてあった横須賀線電車内の網棚。爆発で網が破れ、天井にも多数の穴が開いた(写真:時事通信社)

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犯人の正体は⋯

 事件から4ヶ月後の10月1日、日野市内で聞き込みを続けていた捜査員が、いつもどおり「みすづ総本店」の菓子箱を印刷したビラを住人に見せ確認していたところ、そのうちの1人の男性が「昨年、名古屋に新婚旅行で行った際、名古屋駅のホームでお土産にこの鯱最中(10個入り)を買って、隣人にもあげた」と証言した。

 その隣人が、1年前に戸建て貸家に越してきた当時25歳の若松善紀だった。

 若松は猟銃免許所持者、かつ毎日新聞の購読者。電気関係の通信教育を受けており、事件の3ヶ月ほど前から狩猟用の火薬の威力を試すような行為をしていたとの近隣住民からの証言も得られた。まさに犯人像とぴったりの人物。

 その後、事件当日に会社を休んでいたことも判明したため、警察は11月9日、若松の勤務先の土木会社を訪れ任意出頭を求める。果たして、神奈川県警本部で行われた取り調べで若松はあっさり犯行を自供。