ミラノ五輪では、フリーでの完璧な演技で、5位から大逆転で金メダルを獲得したりくりゅう。ただ、2019年の結成時、木原龍一はバイト生活中で、三浦璃来も壁にぶち当たっていた。それから7年。2人を成長させた、カナダでの暮らしとは――。(全3回の2回目/はじめから読む)
初出:「週刊文春」2026年3月5日号。年齢、肩書は当時のまま。
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当時、ペアが見つからなければ引退も考えていたという木原が、三浦と出会ったのが、2019年6月のこと。
「リュウイチ、靴を履け!」
その日、中京大アイスアリーナでは連盟のトライアウトが開催されており、木原は手伝いに駆り出されていた。三浦は市橋翔哉との合宿中だった。トライアウトが終わった頃、指導者として連盟が招いていたブルーノ・マルコット氏が、帰ろうとする木原を呼び止めた。
「リュウイチ、靴を履け!」
ブルーノ氏と親交のある本田武史氏(ソルトレイクシティ五輪日本代表)が語る。
「滑り出した2人は初めて組んだにもかかわらず、タイミングも合っていて、ツイストリフトでも想像以上の高さだった」
ブルーノ氏は興奮してこう叫んだ。
「この2人を絶対組ませろ!」
当時17歳、高校3年生だった三浦
そこで本田氏は三浦の親に相談しに行ったという。
「本気でやるんだったら、海外を拠点にするしかない。それを高校3年生の女の子1人に決断させることはできません。親御さんも、璃来本人も悩んだと思います」
木原のかつての同僚、飯岡裕輔氏が言う。
「木原選手は『凄く相性が良いと思いました』と好感触でした。ただ、『相手がどう思うか次第ですね』と」
