イラン情勢のリアルタイムデータを発信
そして話題は、過去の災害から現在進行形の国際紛争へと移る。渡邉教授は、ロシアによるウクライナ侵攻の際にも、数社の衛星画像を用いてデジタルマップを作成。その試みは以前、本サイトでもその取り組みを紹介した。現在は、緊迫するイラン情勢について、データの可視化を通じたリアルタイムな発信を行っている。
数あるニュースの中でも、このイラン情勢の可視化が注目を集めている背景には、現代特有の「情報発信者の信頼性の揺らぎ」があるからではないかと渡邉教授は指摘する。
「時代だなと思うのですが、トランプ大統領であったり、イスラエル側であったりが発信する情報が、そもそもどんどん信用できなくなっています。トランプ氏などは本当に毎日のように言うことがコロコロ変わりますよね。だからこそ、そうした声にあまり振り回されず、淡々とデータから見えることを分析して発信することが、支持を得られている理由だと感じています」
こうしたリアルタイムでの事実の提示を可能にしているのが、情報環境の劇的な変化だ。ウクライナ侵攻が始まった当初、衛星画像は撮影から公開までに数日を要し、一部の専門家やメディアしか扱えない珍しい存在だった。
「今は時代が進み、たとえば私がイラン情勢の可視化で使っている『マリントラフィック(船舶の自動識別装置による位置情報)』などは、もう誰でも使えるものになっています。オープンソースインテリジェンス(OSINT)が誰でも扱える時代です。さらに、ハルシネーションへの注意は必要ですが、膨大なデータの分析もかなりAIが手伝ってくれるようになりました」


