日本ではアメリカやイスラエルの視点で語られがちなイラン情勢。だが欧州、とりわけフランスにとって中東は「身近な問題」だ。フランス在住50年のジャーナリスト・広岡裕児氏が、欧州の視線から読み解くイランとレバノンの危機とは。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年3月17日配信)
ホメイニ亡命期からパリに滞在
文藝春秋PLUSの番組「速報解説!ニュースの論点」に、フランス在住のジャーナリスト・広岡裕児氏が出演した。テーマは「イラン攻撃、欧州はどう見ている」。
広岡氏のフランス生活は今年でちょうど50年になる。「ホメイニがパリに亡命していた時期から滞在している」と広岡氏は語る。フランスは共和制の伝統から、周恩来やレーニン、朝鮮独立運動の活動家など、あらゆる政治的立場の人々を受け入れてきた亡命の地でもある。そうした歴史的背景があるからこそ、イラン情勢はフランスにとって遠い国の出来事ではない。
イラン市民は不安と希望、恐怖が入り混じった状態
フランスのメディアはイラン情勢を大きく報じている。広岡氏によれば、イラン国内の街頭の声は「不安と希望、そして恐怖が入り混じった状態」であり、「事態は容易には収束しないというのが一般的な見解である」という。自国が空襲される現実の中で、生活の悪化への懸念が広がっている状況だと指摘した。
フランス政府の立場について広岡氏は、当然ながらイランを非難していると述べた。イラクのクルド自治区にあるフランス基地が親イラン派の民兵に襲撃され、フランス兵1人が死亡、5人が負傷する事件も起きている。ただし広岡氏は「同時にアメリカをも非難している事実を忘れてはならない」と付け加えた。
