垣根さんと池井戸さんの出会いは
池井戸 垣根さんとの最初の出会いというと日本推理作家協会だよね。
垣根 そうです。もう十年以上前ですかね。お互いに推理作家協会の理事をやっていて。
池井戸 理事会に参加して、終わった後、二人で飲みながら推理作家協会の愚痴を言い合う(笑)。
垣根 そうでしたね(笑)。たしか僕が「なんで池井戸さんって推理作家協会の理事になったんですか?」と聞いたんですよ。そうしたら、「そんなこと決まっているじゃない。金庫番にさせられたんだよ」って(笑)。
池井戸 会計担当。あの時は協会の財政が悪化していたんだよね。
垣根 だから銀行マンだった池井戸さんに白羽の矢が立った。
池井戸 それで一応、いろんな施策を行って、財政を立て直したんだけどね……。あとどんな話をしていたのかよく思い出せないな。
垣根 あっ、昔どんな話をしていたか思い出したんですけど、池井戸さんと僕と、どっちが田舎で生まれたか競争をした。
池井戸 そうだった(笑)。
垣根 僕は長崎県の諫早市出身で、お会いする作家お会いする作家に、どっちが田舎かって勝負をして、それまで全戦全勝だったんですよ。
池井戸 家から信号までどれくらいかかるかという勝負ね。
垣根 僕の家は信号まで歩いて十分ぐらいかかる田舎だったけど。ところが、岐阜県出身の池井戸さんに初めて負けた。
池井戸 うちは信号まで車で二十~三十分かかるから。今、その田舎の話をドラマでやってるよ。
垣根 『ハヤブサ消防団』ですね。
池井戸 直木賞の候補作になったのは今回で三回目だっけ?
垣根 三回目です。三回目で受賞できて、ちょうどよかったかなと思いますね。
池井戸 僕も三回目の候補で受賞した。三回目ぐらいまでが楽しめるかもね。そこから先は、だんだん楽しめなくなってくると思うから。
垣根 僕はデビュー後、現代ものの小説を書いていたときは、比較的順調にいろんな文学賞をいただいていたんです。でも、十年くらい前から歴史小説を書くようになると、文学賞にノミネートはされても、五回か六回ぐらい、つづけて落ちて。
池井戸 何だろうね。小説の肝が違うのかな。
垣根 自分でもよく分かんないです。何かが違ったみたいで。ことごとく落ちるなと思って、ここ最近は開き直って、笑っていました。
