ゴミ屋敷に住みながら、男たちを殺していった

 当時の報道では、「西の毒婦」美由紀の周辺では6人の男が、「東の毒婦」佳苗の周辺では4人の男がそれぞれ不審な死を遂げており、美由紀、佳苗共に死んだ男たちから多額の金品を受け取っていたと伝えられた。2人は年齢も美由紀が当時35歳、佳苗は当時34歳と1つしか違わず、ともに肥満体型であり、何かと似たところが多かった。

 もっとも、2人は生活スタイルが対照的だった。

 未婚の佳苗が都心の高層マンションで1人で暮らし、日々の贅沢な食事をブログで公開していたのに対し、2回の結婚歴があった美由紀は5人の子供がいるシングルマザーで、鳥取市でスナックのホステスや取り込み詐欺をして生きていた。

ADVERTISEMENT

5人の子どもがいるシングルマザーで、いわゆる夜職をしながら生活していた ©文藝春秋

 美由紀が子供らと暮らしていた長屋風のアパートもゴミ屋敷化しており、佳苗以上に「なぜ、不審死した男たちから多額の金品を受け取れたのか……」という疑問を強く感じさせる女だった。

 私は2013年9月4日、そんな美由紀と松江刑務所の面会室で初めて向かい合った。美由紀は、不審死した男6人のうち、2人を債務の返済を免れるために殺したとして立件され、前年12月に第一審・鳥取地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けていた。

 一貫して冤罪を訴えていた美由紀は、これを不服として広島高裁松江支部に控訴しており、私は本人に事件の真相を聞いてみたいと思って取材に訪れたのだ。

「私のこと、怖いですか?」

 その日、美由紀はグレーのトレーナーに、ジャージのハーフパンツという姿で面会室に現れた。報道の写真では、巨軀の怪人物のように見えた美由紀だが、実際は太ってはいるもの、身長が150センチもないほど小柄で、化粧をしていない素顔は地味だった。アクリル板越しに美由紀は、おどおどしながらこう問いかけてきた。

「私のこと、怖いですか? 私が人に暴力をふるうように見えますか?」

 この問いかけは、美由紀が暴力的な人物だという報道があったことを意識してのものだと思った。私が率直に、「上田さんは、人に暴力をふるうようには見えませんね」と告げると、美由紀は得心したような笑みを浮かべ、こう言った。

「私のことを一度にすべては知ってもらえないと思いますが、一つ一つ知って欲しいです」

 私はこうして美由紀と面会や文通を重ねるようになった。

次の記事に続く なぜ「ゴミ屋敷に住むホステス」に男性たちは騙されたのか? 6人が不審死『鳥取連続不審死事件』上田美由紀が男性たちに取り入った「手口」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。