親から子への「負の連鎖」

――ベルギーの親子関係はより希薄化、言い換えればより危機的な状況にさらされていると言えるのでしょうか。しているとすれば何が原因だと思われますか。

リュック これは、ベルギーという一国の問題にとどまる話ではありません。私たちが調べた限りでも、たとえばコロンビアやブラジルといった南米の国々でもこうした問題は顕著ですし、むしろ世界の多くの国が直面する問題と言えるのではないかと思います。

 ただその一方で、世界で起きている親子の問題には、それぞれ共通した背景があるとも思います。大きくは貧困や家庭内暴力ですね。また、「若すぎる母親」が生まれる背景としては、情報不足もあります。たとえば、避妊の正しい方法を知らないことや、「母親」について、誤った認識をしていることですね。後者については、母親になることが「自分の地位を向上させること」だと考えている少女もいるようです。母親になってまわりから注目されたり、重要な人間だと認識されたいと思い、身ごもった子どもを出産するケースもあるようですね。しかし、当然ながら現実は甘くないですし、そのような母親たちは多かれ少なかれ、生活の困難に直面します。

ADVERTISEMENT

 また、こうした問題を抱えた家庭では、親から子へと、負の連鎖が繰り返されることも珍しくはありません。『そして彼女たちは』では、ジェシカは自身の赤ちゃんへの愛情が持てないことを打ち明けますが、それは彼女が、母親からの愛を受けられなかったことに起因しています。また、アリアンヌは赤ちゃんを養子に出そうとしますが、それは彼女が「子」として直面した負の要素を、次の世代であるわが子に受け継がせたくないということでもあったでしょう。

リュック・ダルデンヌ