訴えかけの定型的なパターンは“危機感を煽ること”

 ここでは、右派でも左派でもない中間層が、意図せずして極端なポピュリストを後押ししてしまうという可能性を中心に述べてきました。しかし一方で、中間層が意図的に極端なポピュリストを支持するという可能性が今後ないとはいえません。それはすでに、欧米社会では現実のものとなっているのですから、日本では生じないと考えるのはあまりに楽観的でしょう。

 ポピュリストが人々に訴えかけるときの定型的なパターンは、危機感を煽ることです。「日本の経済が危ない!」「私たちの生活が危ない!」「私たちの文化が危ない!」などと、いますぐ行動を起こさないといままでどおりの生活ができなくなってしまうと脅します。

 社会や生活が安定している時期にはそんなことで動揺する人は多くありませんが、誰の目からみても不安定で先行きが不透明な社会状況にあっては、危機の予兆はいくらでも指摘できるのです。「中国に乗っ取られる」「外国人によって日本の文化が壊される」「環境重視で経済がダメになる」などなど、すでにあちこちで聞かれ始めています。

ADVERTISEMENT

 欧米社会でも、右派を自認している人だけが右派ポピュリストを支持しているわけではありません。私たちの社会が危ないとさんざん煽られて、背に腹は代えられないと支持する中間層のほうがより多数派だといえるでしょう。

 日本社会はどうでしょうか。むしろ、支持する政党はないと「中立」を決め込んでいた多くの人たちが、雪崩を打つようにポピュリストを支持するようになる情景がどうしても思い浮かんでしまうのです。私の愚かな妄想にすぎないことを願うばかりです。

*1 橋下徹『政権奪取論 強い野党の作り方』朝日新書、2018年、56ページ

最初から記事を読む 「弱者男性」が右寄りとは限らない、もっとも右派から遠いのは「若年大卒女性」…では誰が右派を支持しているのか? データから見る「右派市民」像