うす暗い廃トンネルの中へ
実はすでに峠のピークは越えていて、あとは横川に向かって緩やかな下り坂。軽井沢駅に着いたときには曇り空で震えるほど寒かったが、ここに来て日差しが出てきて廃線跡歩きにはちょうど良い天気になってきた。
熊ノ平駅の脇のトンネルの穴は、4つある。そのうちのふたつにはレールが繋がっている。新線の廃線跡がこちら、ということなのだろう。
残るふたつのトンネルにはレールがなく、さらにそのひとつには遊歩道が続いている。ここを進んで行けば、横川駅にたどり着くことができるのだ。
さっそくトンネルの中に入ろう……と思ったら、その前に小さな鳥居と祠があった。近づいて見ると、「熊の平神社」とあった。
いまではひとけのない山の中の廃駅も、かつては多くの職員が働き、そして暮らしていた。そんな彼らの手によって、小さな祠が建てられたのがはじまりだという。
さらにその隣には、1950年の山崩れて犠牲になった職員とその家族50名の殉難碑。いまでは新幹線で寝ているうちに抜けてしまう峠道も、かつては命がけでそこを守っていた人たちがいたのである。峠を抜けるトンネルでも、口を開けて寝てばかりもいられませんね……。
トンネル地帯を進んでいく
祠と殉難碑にお参りをして、ようやくトンネルの中へ。レールも剥がされて遊歩道になっているから歩きやすいし、照明もあるからトンネル内といっても安心感がある。
なかなか人に出会わないので野生動物への不安はちょっぴり高まってくるが、まあたぶん大丈夫。
トンネルもそれほど長いものではなく、すぐに外に出て、またすぐにトンネルに入って出ての繰り返し。トンネルの壁面がレンガ積みになっているところに、明治時代に建設されたという、その時代が感じられる。
いくつかトンネルを抜けて1kmほど歩いたところで、大きく視界が開けた。




