東京から1泊2日、もしくは日帰りでも充分に楽しめる行楽地。その海の代表が熱海だとすれば、山ならば軽井沢に決まっている。どちらも東京から新幹線に乗って1時間前後。先日熱海に足を運んだのだから、今度は軽井沢にも行ってみよう。

 ……と、そんな安易な考えで、うららかな春の陽気の中、北陸新幹線に乗ったのである。

北陸新幹線“山の奥のリゾート駅”「軽井沢」には何がある? 撮影=鼠入昌史

いまの軽井沢には何がある?

 新幹線の中は、たくさんのお客で混み合っていた。半袖でもいいくらいに暖かい春休みの1日。長野か、北陸にでも出かけるのだろうか。大宮を過ぎるころには、もう空席はほとんど残っていなかった。

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今回の路線図。長野県と群馬県の県境に位置する。東京駅からの所要時間は1時間ほど。

 ところが、そんなお客の半分近くが軽井沢駅で降りてゆく。軽井沢といったら、避暑地のイメージが強い。だから春になったばかりのこの時期はまだオフシーズン。

 そう思い込んでいたが、実際には季節を問わず人気の行楽地なのだ。そういえば、熱海にも夥しいほどの観光客がいましたね……。

 ともあれ、たくさんのお客が大挙して降り立った軽井沢。ぞろぞろと階段を登り、ぞろぞろと改札口を抜けると、駅の南と北を結ぶ自由通路を右に左に分かれてゆく。

山の上にはスキーヤーの姿も

 とりあえず右に向かう流れに乗って駅の外に出てみると……体がブルッと震えるほどに寒いではないか。東京が春うららといっても、山を越えた軽井沢はとてつもなく寒かった。

 さすがに駅前には雪はもうなかったけれど、遠くに見える山の上のスキー場には何人ものスキーヤーの姿が見える。よくよく見てみれば、新幹線を降りたらダウンジャケットを着込んでいる人もいた。山の上の軽井沢、夏は東京よりもだいぶ涼しく、冬は東京よりもだいぶ寒い町なのだ。

 

 そういえば、軽井沢駅よりもだいぶ離れた山の奥の別荘地で50年ほど前に起きたとある事件では、用意された弁当がカチコチに凍ってしまい、みんなカップヌードルで空腹をしのいだ……なんていう逸話も残っている。避暑のリゾート地は、春の訪れも遅いようである。

 そんなことを言ってもいまさらどうすることもできないので、日差しが出てくれることを祈りながら町を歩く。