森の中に建ち並ぶ別荘地

 旧軽銀座から交差点に戻り、駅前ではなくまっすぐ旧中山道を歩いてゆく。たくさんのクルマが入ってゆく森の中のレストランの脇を抜ければ、そこはもう別荘地だ。森の中に別荘が建ち並ぶ。

 

 どれも敷地が広いから、軒を連ねているような狭苦しさはない。シーズンオフなのか人の気配はないけれど、手入れはよくされているようだ。だから、夏場にでもなると軽井沢で夏休みを過ごす人たちで賑わうのだろうか。

 森の中の別荘地を歩いて抜けて、軽井沢駅前に戻って来た。

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 橋上駅舎の軽井沢駅に上がる階段の脇には、いかにも古い「軽井沢(えき)」と看板を掲げた建物がある。新幹線が開業する以前、信越本線軽井沢駅の駅舎だった建物だ。

 

 いったん取り壊されたが、部材の一部を再利用して復元、旧軽井沢駅記念館になった。それがいまではしなの鉄道軽井沢駅の駅舎として使われている、というわけだ。

 しなの鉄道は、新幹線開通と同時にJR信越本線が転換して生まれた第三セクター鉄道だ。お隣の中軽井沢駅の周辺は軽井沢と同じ浅間三宿のひとつ、沓掛宿の町。そこにもいくつものリゾート施設が集まっていて、軽井沢観光の中核を担う地域だ。だから、新幹線からしなの鉄道に乗り継ぐ観光客も少なくない。

 

 そう考えてゆけば、「軽井沢」という町は駅前の商業施設から旧軽、中軽と、なかなか奥の深い町なのだ。県境を越えた群馬県側にも「北軽井沢」という高原の町がある。軽井沢といったら別荘地、リゾート地、避暑地。そんな言葉ひとつで説明しきれない、深遠な魅力を備えているのかもしれない。

 

撮影=鼠入昌史

次の記事に続く レンガ積みのトンネル、塗装のはがれた変電所、世にも珍しい“アプト式”のレール跡まで…軽井沢の奥地に眠る「峠越えの廃線跡」をたどる

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。