「湘南」の範囲がどこからどこまでなのか。外野からしてみるとどうでも良さそうな話だが、関係エリアの人たちにとっては意外とやっかいなテーマらしい。

 おおまかには神奈川県の相模湾沿いということになっているが、どこが東の端で西の端なのか。北側の高台はどこまでが湘南といっていいものか。門外漢が安易な気持ちで踏み込めない、そんな問題なのだ。

 ただ、そんな中でもここ茅ヶ崎だけは、誰に尋ねても文句なしの“湘南”に違いない。

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 東海道線、ときに“湘南色”などと呼ばれる緑と橙の帯を巻いた電車に乗って、東京駅から1時間足らず。東には藤沢、西には相模川を隔てて平塚という相模湾に面したところに、茅ヶ崎はある。ちなみに、駅名は「茅ケ崎駅」だが、地名としては「茅ヶ崎」と微妙に表記が異なるらしい。

東海道線“ナゾのサザンオールスターズの駅”「茅ヶ崎」には何がある? 撮影=鼠入昌史

東海道線“ナゾのサザンオールスターズの駅”「茅ヶ崎」には何がある?

 茅ケ崎駅には東海道線に加えて相模川沿いの内陸部を走る相模線も乗り入れており、ちょっとしたターミナルとなっている。ホームに降り立てば、流れてくるのは『希望の轍』。

 説明するまでもなかろう。いま、茅ヶ崎といったらサザン、サザンといったら茅ヶ崎だ。『希望の轍』の発車メロディに身を包むと、サザンが好きだろうとなかろうと、ああここは湘南だ、と思わないではいられない。茅ケ崎駅は、紛れもなく湘南を代表するターミナルとして膾炙しているのである。

 といっても、茅ケ崎駅にやってきて「湘南」を感じるのはせいぜい『希望の轍』くらいなものだ。何しろ東京駅から1時間足らずの通勤圏内。ベッドタウンという側面も併せ持つ。

今回の地図。茅ケ崎駅から海岸までは歩いて20分ほどかかる。

 だから、駅としてはとりたてて湘南ムードが掻き立てられるわけでもなく、ありふれた郊外の駅といっていい。