浅村の抜けた3番には秋山が座ったが、4月末時点で打率.211と不振で、山川も交流戦あたりに調子を落とし、チーム打率こそリーグ1位だったが得点力は低調だった。そこで辻は夏場にかけて、調子の上がらない山川を一時下位に下げる一方、前年下位打線だった中村の打順を繰り上げ、8月には完全に4番に据えた。中村は4番定着後に打率.304、10本塁打、42打点と大爆発し、シーズン通算でも打率.286、30本、123打点で4年ぶりの打点王に輝く。山川は下位打線に下がったものの不振期を乗り越え、2年連続40本超となる43本塁打で再び本塁打王を獲得した。また、一時は3番を任された外崎は自己最多の90打点で、浅村の穴を埋める活躍を見せた。

長打力・巧打力・走力が融合

 そして、打線復調の原動力となったのが森の大躍進だ。開幕から好調を維持し、打率.329・23本塁打・105打点・OPS.959という阿部や古田、城島といった「打てる捕手」を彷彿させる圧巻の成績で首位打者とシーズンMVPを獲得。捕手が首位打者を獲得するのは史上4人目の快挙であった。

 源田や金子侑司は俊足巧打ぶりを発揮し、金子は主に9番打者ながら41盗塁で盗塁王を獲得。シーズン途中で1番に戻った秋山も復調し、3年連続最多安打で打線の起点として機能した。こうした辻の打線再編によって長打力・巧打力・走力がバランス良く融合した打線は「どこからでも点が取れる」破壊力で他球団を圧倒し、チーム得点数・盗塁数はいずれもリーグ1位をマークした。

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 投手陣は前年の主力が軒並み計算できない緊急事態に陥ったが、若手・新戦力の台頭に期待を託し、起用を大胆にシフトする。髙橋光成、新外国人のザック・ニールの他、今井達也や松本航、本田圭佑、十亀剣らが入れ替わり登板し、若手中心のフレッシュなローテーションを編成。これら新戦力の台頭を促したのも辻のマネジメントによるものだ。先発陣の顔ぶれを大胆に入れ替えつつ、勝てる投手を見極め起用していった点に采配の妙があった。

 とはいえ前年と同様に先発は5回程度でスイッチし、継投で逃げ切る方針が取られたため、リリーフが勝敗の鍵を握った。平井は70試合登板を目標に掲げて開幕からフル回転し、蓋を開けてみればパ・リーグ新記録となる81試合登板。増田もクローザーに復帰し65試合登板30セーブ、防御率1.81と安定感抜群で勝利の最後を締めた。小川龍也や佐野泰雄らで層を厚くしつつ、夏以降は平良海馬が台頭。チーム防御率はこの年もリーグワーストながら、シーズンを乗り切った。

 しかしながら短期決戦の壁は厚く、CSではまたもソフトバンクに敗れた。山賊打線は再びソフトバンク投手陣に封じ込められ、4連敗。それでも辻は「リーグ制覇を2年連続で成し遂げたことは胸を張るべき」と選手を称えた。実際、主要打撃タイトル6部門中5部門をライオンズ勢が占めるなどチームの躍動ぶりは群を抜いており、レギュラーシーズン143試合という長丁場では、打撃力を最大限に活かし投手陣をカバーする戦略が有効であることを示した。

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