ラフティングガイドの経験から出会った“キャニオニング”

――このラフティングガイドの経験が、のちのキャニオニングへ繋がっていくわけですね。

田中 そうです。30歳の頃、日本に住んでいるニュージーランド人から「キャニオニングという新しいアクティビティでビジネスをしたいから、コース開拓を手伝ってくれ」と誘われたのが、運命の出会いでした。

――初めてのキャニオニングはいかがでしたか?

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田中 一番最初に行ったのが四国の80メートルぐらいある滝で、途中の10メートル以上の段差を、身ひとつでバーンって滑り台みたいに滑り落ちて、滝壺にドボーン!って飛び込んだんです。10メートル以上あっても、滝壺の泡がクッションになるから痛くないんですよ。「こんな遊び方あるんか!?」ってものすごい衝撃を受けました。

現在はキャニオニングのインストラクターとしても活動している

“キャニオニング”は未知の険しい地形に入っていく最強手段

――沢登り(渓流を下流から上流へ登る、日本特有の登山スタイル)とは違ったのでしょうか。

田中 沢登りは日本で古い歴史があって、僕も学生時代に経験していました。でも、キャニオニングには、沢登りの達人が手も足もでないような地形にも入って行けるポテンシャルの高さを感じたんです。

「上から下に下る」から、とっかかりが無くてもロープで降りたり飛び込んだりすれば、一瞬で下れちゃう。未知の険しい地形に入っていくためには、最強の手段だと気づきました。

ロープを頼りに身ひとつで滝を下ったり、崖を登ったりするキャニオニング

――その後、アジア人初の国際キャニオニング協会認定インストラクターの資格を得られました。その頃に、「キャニオニングで、世界を探検しよう」と決意されたのですね。

田中 日本の渓谷は沢登りでほぼ行き尽くされてしまっています。でも、キャニオニングの技術があれば、世界中の誰も行ったことがない未踏の巨大な峡谷(幅が狭く両側の崖が高い渓谷)へ入っていくことができる。

 ガイドとして生き残っていくためには、トップを目指さなければと思っていました。それで、せっかくならその技術を使って、未知で未踏の渓谷へ行こうと思うようになって。そこから、僕の海外の未知の渓谷への挑戦が本格的に始まって、気がついたら今のようになっていました。