韓国現代史の闇を扱った『済州島四・三事件 ハラン』が、4月3日に公開され観客を集めている。映画は1948年に実際に起きた、済州島4・3事件の虐殺の中を生き延びようとする、母と娘が主人公だ。

◆◆◆

済州島に住みながら書いた脚本

 済州島4・3事件とは、日本の敗戦後、米軍とソ連軍に占領統治されていた朝鮮半島で、1948年4月3日、南北分断を危惧した済州島の一部の島民が武装蜂起したことに端を発する。10月には「海岸線より5キロ以上の地域に出入りする人々を暴徒と見なし、無条件射殺する」という布告を李承晩率いる韓国政府が発し、いわゆる赤狩りから、政府による島民への無差別な大虐殺へと発展していった。犠牲者は3万人近くとされるが、政府の反共路線により2000年まで真実が明らかになっておらず、正確な数字はわかっていない。ノーベル賞作家ハン・ガンの小説「別れを告げない」もこの事件を背景にしている。

ADVERTISEMENT

ハ・ミョンミ監督

 本作が監督2作目となるハ・ミョンミ監督は脚本家出身。ソウルから済州島に移住したことをきっかけに、女性たちの視線から描こうとこの作品を書き始めたという。天才子役として知られた『無垢なる証人』(2019)などのキム・ヒャンギが、若く逞しい母親アジンを演じている。

――『ハラン』とても素晴らしい映画でした。シスターフッド復讐劇だった監督の前作『彼女の趣味』(2023)とは全然テイストが違うので、少し驚きましたが。監督は10年ほど済州島に住んでいたそうですが、それは4・3事件を映画にする前提で移住したんですか? それとも、移住をしてからこの題材を映画にしたいと思われたんですか?

『済州島四・三事件 ハラン』

ハ・ミョンミ 済州で暮らしている中でこの映画を思いつくようになりました。私が済州に行ったのは、依頼されたシナリオを長く書いていた中で、自分だけのオリジナル脚本を書きたいと思うようになったからなんです。そこで済州で暮らしながら、何か文章を書く時間を持とうとしたのですが、結果的にとても長く滞在することになりました。そうした中で済州島4・3事件のことを知り、いつかこれを映画にしようと思っていたのですが、思っていたよりも早く作ることになりました。