占いは当たらなくても、人はなぜ従うのか。細木数子の言葉は、ヤクザや高齢者の心をつかみ、テレビの前の視聴者をも動かした。その支持の裏側にあったのは、痛烈な断言と“代弁者”としての役割だった。
「視聴率の女王」として君臨した彼女のカリスマ性の源泉を、ノンフィクション作家・溝口敦氏の文庫新刊『細木数子 魔女の履歴書』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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人生観を測るリトマス試験紙
要するに細木数子の先を見通す力(あるいは見通せない力)は、どこにでもいそうなおばさんと差がない。にもかかわらず、彼女が番組で占い半分、若いタレント相手に垂れる説教や道徳は一部に好評である。
「細木はなかなかいいこと言ってるよ。今たいていの人が若い者を𠮟りつけたり、怒ったりしないじゃない。だけど、細木は親やご先祖を大切にするのは当たり前とか、ふわふわ浮ついた奴らを𠮟り飛ばしてるからね。世間のためになってるよ。なぜ細木が世間で悪口言われるのか、俺には分からない」(関東の広域暴力団元幹部)
現に2006年4月25日放送の『ズバリ言うわよ!』の冒頭で、「子供を育てる自信がない」という問いに対して、細木はこう𠮟り飛ばした。
