――ご自身も混乱や恐怖はあっても、気分を切り替えられたところが。

もりひ 意外と楽観視しがちな人間なので。それでも、手術はイヤな思い出ですけどね。やっぱり手術ってね、やばいっすよ。「俺が何したんやろ」って、罪を犯した気分になりますからね。

 先生も親も「これ終わればなんとかなるから」とかなだめるけど、こっちは「いや、終わっても痛いし」と思ってるから(笑)。無機質な病室とか、大人になってもイヤですからね。

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「再発したっていうのが、一番クラッてなった」母親は検査結果を聞くたびに失神

――子供心に両親も辛そうだなと感じていましたか。

もりひ 僕なんて耐えるだけなんでね。親って見ているだけしかできないから、一番辛いですよ。「自分の子供がそうなったら」と考えると、ちょっと僕は耐えられないですね。自分が医者だったら何かできますけど、親は何もできない。一般人ですから。

 ただただ、子供の「痛い、痛い」を聞かされることしかできないんですよね。親だってなんも悪いことしてないのに、どうして自分の子供がそんな目に遭わなきゃいけないのかっていう。

――病気のことで親に当たってしまうことも。

もりひ そうですね。でも、僕がイライラしている理由が病気ってなると親も言いづらいとは思うんですけど、でもそこは割り切って叱ってくれていたんじゃないですかね。

 病気だからって「何でも言うこと聞いてくれるわ」なんて僕が思うようになっていたら、今こんなふうに生きられてないから。そのあたりの教育の線引きは、親ながら神がかっていましたね。甘やかさず、怒るところはしっかり怒ってくれて。

 

――お母さんが検査結果を聞いて失神されたこともあったそうですね。

もりひ 母は検査結果を聞くたびに病院で失神してたんで。再発したっていうのが、一番クラッてなったんでしょうね。うちの母、貧血なのもあったし。

 一方の父は、もう黙って先生と状況確認して。両方の親が失神してたらダメじゃないですか。だから「俺がしっかりしないと」ってところがあったと思います、父は。

――弟さんはどうでした。

もりひ 僕が病院ってなると両親がいなくなって、家に1人残されるじゃないですか。それがかわいそうで。父の妹夫婦がいるんですけど、2人が弟を遊びに連れていってあげたり、面倒を見てくれてて、すごく助かってましたね。

 弟も優しくて気を使ってくれて、僕が頑張ってるから自分は大丈夫なんてことも言ってくれますし。