「アイデンティティも全部奪っていきます」病気によって仕事ができない“悔しさ”

――自分も辛いけど、周りの方が泣いている姿を見るのも辛い。

もりひ しんどいっすよ、マジで。引きますもん(笑)。勘弁してくれよって。「なんか俺、悪いことしたんかな」っていう気持ちになるから。病院の先生からも「再発のことはどうする? 自分で言う?」みたいなん聞かれて。「自分で言います」って。

 他人から知らされるほうがイヤじゃないですか。だからみんなのとこ、1人ずつ行って、おばあちゃんに会ったり。もう突っ伏して泣くんです。隠れて泣く人もいれば、目の前で号泣する人もいて。あれは辛いですね。

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――パートナーも鍼灸師を?

もりひ やってます、やってます。

――体がしんどいと施術してもらうことも?

もりひ いや、逆ですね(笑)。仕事で疲れてるので僕がやります(笑)。

――鍼灸師として働けない悔しさ、当然ありますよね。

もりひ くやしいですよ。僕、一生懸命働いていたんで。周りの子たちよりも早く働いてて、「みんなの先行ってるやん」みたいに嬉しかったし。

 病気って、そういうアイデンティティも全部奪っていきますからね。仕事って生きることでもあるんで。それが奪われることに猛烈に頭来るんですよね。

取材時にギターの演奏を披露してくれた

「バチンと音がしました」顔の穴と口が繋がってしまい…

――顔に対する視線が気になることは。

もりひ まあ、そこが僕の強みなんですけども、けっこうポジティブにやってるんで「見るなら見ろよ」みたいな。

――目立ちたがり屋なところが。

もりひ もちろん。目立ちたがりじゃなかったらこんなことやってない(笑)。小学校の頃から、目立つの大好きなんで。だから入院とかしても、帰ってきたらヒーローみたいになっちゃって。「もりひ、来たー!」みたいな。

「お帰りなさい会」みたいなのをクラスでやってくれて、色紙とかでいろいろ作ってくれるのがうれしくて。

――最近の動画では、穴が大きくなって口と繋がったと報告していましたね。

もりひ だから唇がない状態で。しゃべると唾液が出るじゃないですか。でも唇がないと制御がきかなくなるんで、たまに吸わないとたまってしまう。面倒臭いですね。

――口と穴が繋がった瞬間というのは。

もりひ バチンと音がしました。もう唇は1センチあるかないかの状態やったんですよ。で、さっきも言ったように、装置を外すときって引っ張られるじゃないですか。その引っ張りに耐えられへんくなって、バチーンって。

 出血もしたので、病院に駆け込んで。けど、そもそも血流がないところやったんで、ちょびっとぐらいの出血でしたね。重粒子当ててるんで、もう血流が戻る可能性はないんで。縫うところもないんですよ。唇の端と端がないので。

撮影=杉山秀樹/文藝春秋

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