オス虫はメス虫と比べると短大で、9.5ミリ~19.5ミリ×0.5ミリ。灰白色または赤白色で、後体部にメス虫をおさめるための抱合管を持ち、睾丸が線状に6~8個並ぶ。
一方、メス虫は細長く、16ミリ~20ミリ×0.3ミリ。褐色で、子宮は腹側に開口し、子宮内に50~300個の卵子が認められるという。
成熟したオス虫はその抱合管にメス虫をおさめる。このペアは一度結ばれると、生涯離れることなくそのまま抱き合っているらしい。らぶらぶだ。
膨大な数の卵を血管に詰まらせ…
2匹は受精卵子を形成し、排卵する。宿主に入り込んでから排卵まで、通常30~40日。そして、1日にだいたい3000個の卵を産みながら、約3年間生きるのだ。
病状を引き起こすのは、成虫そのものではなく、この膨大な数の卵である。
卵のサイズは赤血球の約7倍から10倍。これが血液の流れに乗って各所の臓器の細い血管に詰まり、重篤な症状を引き起こすのである。
さて、ヒトに病気を起こさせる経過には、急性期、亜急性期、慢性期の3つの時期がある。また、症状が起こる場所はさまざま。主な場所は肝臓。それに続いて脳に詰まることが多いという。
急性期は成虫が産卵を開始した合図。38度くらいまで熱が上がり、下痢に血液が混じったり、粘液が混じったりする。おなかがシクシクと痛み、その状態が約1週間から10日くらい続く。
卵が血管内に詰まることで症状が表れるのが亜急性期。卵が脳の血管に詰まれば脳卒中と同じ症状を招き、肝臓に詰まれば激しいだるさや腹部の圧迫感をもたらす。
慢性期になると、血管内に詰まった卵が臓器の中に肉芽腫という肉の塊を作り、腫瘍のような状態になる。もし脳にその症状が起きれば、脳腫瘍とまったく同じ症状が出る。
肝臓にその症状が起こり続けると、やがて腹水が溜まり、栄養障害を起こして死に至る。
かつて『甲陽軍鑑』に記された武田信玄の家臣たちの症状や、医師・藤井好直が『片山記』で克明に記した病の正体は、まさにこれであった。
つまり、ミヤイリガイが生息しない場所で、この病気に感染することはない。逆に感染者がいるなら、ミヤイリガイも周辺の水辺に生息するというわけだ。
